障害者と健常者の接点を探る

主夫による脳性麻痺の子供の話。ご意見ご感想頂けると大変嬉しいです。m.jigglerアットマークgmail.com

2016-01-01から1年間の記事一覧

価値観を揺さぶるには接点を持たせること

『〇〇る』という単語は語感がいい。 例えば、 ■ググる →googleで検索する。 ■ダブる →留年する。 ■チクる →秘密にしておくと暗黙に了解されていたものを密告する。 ■パクる →盗む。 ■ケチる 必要以上に金品を惜しむ。 言葉の意味は置いておいて、とにかく語…

社会的入院を抜けて、地域生活へ移るために必要なものは

「いやー長かった。病院生活は本当に退屈でしたよ」 久々の外出で気分が高揚しているのか、いつもより饒舌です。 入居する部屋はまだ新しく、生活感がありません。ここでどう過ごそうか、イメージをトレースするように、ちょこちょこと動き回るAさん。おもち…

障害児は親が保育すべき?社会を覆う価値観について

先日、障害児を育てる親の相談を受け付けている方から興味深いお話を伺いました。 氏曰く、『最近の親は主語が「子供」ではなく、「私」となる人が多い』。 つまり昔は、「この子の○○が心配だから、何かいい福祉サービスがないか」という相談が多かったのに…

意外に出費は少ない?医療的ケアを受けながらお家で過ごす子どもの医療費について【H28年8月】

医療的ケアを受けながら、お家で過ごす子どもたち。 その生活実態についての情報は、google先生にお願いしてもなお、あまり出てきません。ヒットする情報も、そのほとんどが学術的な論文ばかりで、実際にに子どもたちやその親がどういう生活を送っているのか…

引けないプルタブ

冷蔵庫に500mlの缶ビールが2本置いてあります。9/12、シュウが退院したお祝いに一杯やろうと、妻からの指令で購入したものです。金麦。おいしいかどうかはよく知らないけど、青い色がいいな、という理由で買いました。僕はお酒が飲めないので乾杯の一口だ…

治療と延命の境にあるものは

スースースーと間延びした寝息の間に、スッスッスッと急かしたような呼吸音が聞こえてきます。モニターを見ると心拍は170bpmで刻んでいて、これじゃ踊るにしては少し早すぎるなと思ったり。そう、10日ぶりにシュウが自宅に戻ってきました。シュウを含めた子…

お産のトラブル解決に親が求めること

今まで積ん読していた【お産SOS 東北の現場から】を読了しました。出産時のトラブルによりシュウは重度の脳性麻痺となったため、実際のところ他のお産はどうなっているのか、客観的な事実が知りたかったため購入。産科医の視点、研修医の視点、助産師の視点…

ナイツのちゃきちゃき大放送に救われた話

長男のシュウは今日9月10日で3か月を迎えました。いや、迎えることができました、の方が正しい表現かもしれません。 地域のクリニックで出産予定だったのが胎児の様子がおかしいということで大学病院へ救急搬送され帝王切開、その後すぐにNICU(新生児集中…

一人ひとり違う人間だからこそブログを書く価値がある

シュウが入院となり早3日、時間的な制約がなくなりまして、その分考える時間が増えました。いま、改めてブログを始めた理由について、あれやこれやと思考の触手を伸ばしています。 kikuo-tamura.hatenablog.com はてなを初めてそろそろ三か月が経とうとして…

医療的ケアを必要とする子どもを持つ親が抱える不安を解消する方法について

人はなぜ不安になるのか。 それは見通しが立たないからです。 例えば子育て。第一子は初めて尽くしで、子供の一挙手一投足が心配の種になるというのは子どもを持つ親であれば誰もが理解するところでしょう。昨日よりミルクの飲みが悪いんだけど体調が悪いの…

分泌物に溺れる

今朝、というより夜中、午前2時前後からシュウのケアに追われていました。 鼻水唾液がとめどなく出てきて、いくら吸引してもまたすぐ出てくるから追いつかず、呼吸が苦しくなり、SpO2が低下。それにつれて心拍数も上昇、警告を示すアラームが鳴り止まない一…

じゃらんと障害福祉サービス。宿予約するように、障害福祉サービスの検索を。

皆さん旅行するときどのような方法で宿の予約しますか。 旅行代理店が計画したパッケージツアーの申し込みの場合は別にして、ほとんどの方がじゃらんとかJTB予約サイトとか楽天トラベルとかを使って予約すると思うんです。 日付と行き先と人数指定して、…

退院のご報告

先ほど妻から無事に退院できたという連絡が入った。 とりあえずひと安心だ。 十二指腸チューブの交換自体はそれほど難しい手技ではないらしいが、レントゲンを確認しながらでないと交換できないため入院となる。胃までのチューブであれば、自宅にて親が交換…

医療的ケアが必要な子を在宅で支えていく生活、退院5日目にして再度入院となったことについて

せがれちゃんが今朝方入院となった。8/17に退院して5日目、現実はなかなか厳しい。 原因は経管栄養チューブの閉塞。自分でごっくんできないため鼻から十二指腸へチューブで繋ぎ、24時間継続でミルク注入しているのだが、そのチューブが詰まったのだ。 実は…

【実験】医療ケアが必要な子どもはどの程度苦しいのか。鼻水の吸引編

嚥下障害のあるせがれ、日々鼻から口から唾液や鼻水、痰などの吸引が欠かせません。自力でごっくんしてそれらを胃へ送れないので、放っておくと気道を塞いでしまったり、肺へ流れ込んで肺炎を起こしてしまったりします。在宅生活において吸引はケアの基本で…

12日間の医療費280万円が子ども医療費助成制度により2400円なったことと、生活保護受給の違いってなんだ。

出生時のトラブルにより、せがれは重症新生児仮死で産まれた。そのままNICUへ運ばれ、転院までの12日間、脳低温療法など様々な専門的な処置をして下さった。 NICUにいた12日間で掛かった医療費は約280万円。(10割負担で) レセプトを見た時は目玉が…

せがれ、脳内出血してるってよ

MRIとCT検査の結果を脳神経外科の専門医に見てもらった結果をお伝えしたいということで、病院へ行ってきました。 先生は冒頭からパンチの効いたことを言い出した。 「脳内に出血が見られます」 普通であれば、ショックを受けて思考停止になってもおかし…

自宅での試験外泊について

退院に向けて、8月13日〜14日にかけて自宅での試験外泊を行いました。 今まで僕は基本的に日中の仕事終わり後1時間程度しか一緒に過ごしたことがなかったので大変さが良く分かってなかったのですが、せがれは真性のかまってちゃんのようです。とても大変で…

月齢2ヶ月とちょっと、やっと退院です

8/15月に退院前の会議が開催されまして、息子の退院日が正式に決まりました。 8/17水です。ちょうど一週間後です。ドキドキ。 訪問診療、訪問看護、訪問リハビリというハイエンドスペックが搭載された息子の医療体制、毎日どこかしらの医療関係者が家に来て…

僕が知的障害者のファンになった時の話

皆さんが感動するときはどんな時でしょうか。 子どもが生まれた時?プロポーズされた時?タイムリーな話題なら、日本選手がメダルを取得した時なんか、感動が産まれますよね。なぜこのような場面に遭遇すると感動するのでしょうか。 人って、生きてく上で、…

息子を連れて帰りたい

PICUから一般病棟に移って5日目、そのケアの差に戸惑っています。 PICUは当然看護師さんの配置が手厚く、何かあると直ぐに飛んでくる。というか飛ぶまでもなく、3回ほど足を動かせばベッドに辿り着く距離にいるので、何もなくても様子を覗きにくる。 だから…

息子の魅力。重症新生児仮死児が与えてくれるもの

在宅生活へ向けて部屋の片付け中、お姉ちゃん達の育児日記が出てきたので読み返しています。 内容は本当に微笑ましくて、おっぱいを飲まないとか夜泣きをするとか、そんな他愛のないものばかり。 忘れていたエピソードもたくさん書かれていて、 例えば、 「…

重症新生児仮死の息子を自宅で受け入れる準備がまだできていない。

病院から退院の目処が出されました。 8月の1週目に退院前カンファレンス、2週目に退院はいかがですかだって。 事あるごとに退院!退院!!とボーイスカウトみたく連呼していたけど、想像以上に早くて驚いています。 医療ケアの手技もデバイスの使い方もま…

息子の首は据わらないかもしれないが、据わるものだってある。

千葉県重症心身障害連絡協議会 年次大会なるものに(仕事と称して)参加してきました。自分が必要とすべき情報に容易にアクセスできる立場にいるということ、本当に恵まれているなと、抄録集を見返しながらしみじみしています。 重症心身障害児者やその家族…

退院が現実的になってきました

7/26、ついにPICUから一般病棟へ移動しました。 出生から46日目、いよいよ退院が現実的になってきました。 2週間ほど前から、痰の吸引、浣腸の方法などの手技を習っています。鼻からチューブを入れて痰を吸ってあげるときにはこっちが顔をしかめてしま…

重症新生児仮死の息子、その命を考える

先日、主治医が話し合いの場を設けてくださった。主な議題は3つ。1、現状の様子、2、今後の方針、3、急変時の対応について。重症新生児仮死の急性期は脱し、呼吸、循環動態が安定している今だからこそ、しっかりと話しておこうという配慮からでした。こ…

息子に対して延命措置はしない、という決断について

心肺停止時は延命措置はしない、という決断を下した僕たち夫婦。 悩みながらもなぜこの結論にいたったか、理論的に考えてみたい。 ----------------- このエントリーは過去エントリーの続きです。 まだ読まれていない方は、こちらから読んでいただければ幸い…

障害児を抱える親は不安、マイノリティをブッ飛ばせ!

今週の前半位から小学校は夏休みに入ったようですね。昼間でも街中で子ども達見かけるようになりました。入り口ではまだ一ヶ月半もあるぜーと浮かれていても、9月を目前に振り返るとえっもう終わり?と愕然としてしまう夏休み。そういう思いが少しでもなく…

重症新生児仮死でも誇らしい

昨日、母体の1ヶ月検診がありました。 診て下さるのは当然ながら帝王切開を行った病院、つまりあまり思い出したくない過去があるところ。そんな訳で数日前から妻は暗い顔をしていた。出産後すぐ、追いかけるように息子のいる医療センターへ転院となったため…

重症新生児仮死で産まれた息子の生きる意味って何だろう

重症新生児仮死で生まれ、今後も重度の脳性麻痺が残る長男。こういった条件を背負っている我が子が生きる意味は何なのだろうか、生まれてからずっと考えてきました。そして一つの結論に辿り着きます。今日はそのことについて書いてみたいと思います。 ------…

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士/非営利組織専門の広報戦略コンサルティング会社 JIGコンサルティング代表 https://www.jig-consulting.com/

2016年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、キャンプ、子どもを追い回すこと。千葉県生まれ。
ご意見、ご質問など、メールをいただけると、とても嬉しいです。
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