治療と延命の境にあるものは
スースースーと間延びした寝息の間に、スッスッスッと急かしたような呼吸音が聞こえてきます。モニターを見ると心拍は170bpmで刻んでいて、これじゃ踊るにしては少し早すぎるなと思ったり。そう、10日ぶりにシュウが自宅に戻ってきました。シュウを含めた子どもたち3人が各々のポーズを決めて眠りについている横で、今このエントリを書いています。
9/2金の夜間に運ばれたシュウは、そのまま集中治療室へ運ばれていきました。診断の結果は、rsウィルスからの、無気肺、肺炎。処置を終えて僕たち夫婦が集中治療室へ入ると、シュウは中々パンチが効いた姿をしていました。四肢に点滴用の針数本と、顔面には酸素マスク。そのマスクは悟空やベジータがナメック星で使っていた全身液体に浸かるタイプの治療マシンを連想させて、本当に帰れるのかなの心配になりました。
写真1:問題のマシン
写真2:シュウ。液体には浸かっていない。
rsウィルスに関して言えば、自分の力でやっつけていくしかなく、シュウの力を信じるのみ。肺炎は抗生剤を打ち、無気肺の治療については、どうやら肺に溜まっている痰を出してあげなければならず、そのために変な装置を背中に付けられていた。
写真3:当たり前だがドクター中松が考案したものではない。
この装置で肺を振動させて痰を上にあげるみたいなんだけど、素人目にはどう見てもドクター中松が作りだす怪しげな発明品にしか見えず、本当に帰れるのかなと更に心配になりました(結果的に退院できているので効果はあるのでしょう)。
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今回の一連の経過で、感じたことは「治療」と「延命」の境はとても曖昧なものなのだなということでした。
僕たち夫婦は、なるべく自然な姿で生命を全うさせたいという思いが常にあり、例えば呼吸が自立しなければ、それはもうこの子の寿命なのかなと、そんな風に思っています(呼吸器をつけている子を否定しているわけではない)。過去のエントリにも書きましたが、急変時には延命の措置は一切希望しないことも伝えています。
で、今回の場合、治療という名目で呼吸器をつけ、状態が良くなり呼吸器を外して自宅へ戻ってこれたから良いものの、当然ながら呼吸器を外せなかった可能性もある訳です。
先生は言います。「シュウくんのように予備力のない子どもは、急変(さっきまで元気だったのが急に心肺停止に陥った)と言うよりも、今回のように体調不良が入り口になり、徐々に状態が悪くなり死に至ることがほとんどです」。更に「体調不良の入り口で、良くなるのか、ならないのかを見極めるのは非常に困難。」とのこと。つまり、医療者としては、「体調不良であれば、基本的に治療することになります」。
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別に僕たちはシュウの命を無駄に削ごうとしているわけではなく、あくまで自然な形で終わらせてあげたいだけなんですけどね。でもどんなに覚悟を持ってシュウの命に対峙していたとしても、結果的に希望通りにならないことも往々にしてありそうです。先生はその都度相談していきましょうとおっしゃってくださいましたが、それらの決断は命に直結するものばかりでいちいち重い!!
ピンピンコロリが理想だけど、現実はそう甘くはありませんね。また禅問答のような、自問自答の日々が始まりそうです。秋の夜長にピッタリだぜ!