訪問看護とヘルパーさんを手配して、重症新生児仮死の子のお留守番をお願いした
本日、長女の卒園式だった。
長女は生後六ヶ月から保育所へ入れていた。生後半年といえば親を振り回すのが仕事のようなものである。第一子ということもあり右も左も分からない子育ては、戸惑いしかなかった。離乳食がなかなか始められないことに悩み、オムツが外れないことに焦り、年長さんを見るたびに「うちの娘もこんな風に育つのかなあ」と半信半疑だった。だから今日、先生に名前を呼ばれ、一礼した後に卒業証書を受け取る姿には、感慨深いものがあった。
こんな礼儀正しい姿は見たことがない。知らぬ間に成長していて、嬉しいやら、寂しいやら。
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シュウは自宅でお留守番だった。
うちは近くに実家もなければ、頼れる親戚、兄弟もいないため、シュウの子育ては夫婦二人で行っている。だからお姉ちゃんたちの行事、例えば運動会とか保育参観とかは、交代で参加していた。それはそれでまあ片方が我慢すればいいだけの話なんだけど、子どもたちからしたら面白くない。そういう日は決まって〇〇ちゃんちはパパとママが来てたとチクチクやられる。シュウを言い訳には使いたくない。何て言おうかなあといつも悩んでしまうが、きっと彼女たちも気付いているのだろう。そんな姿を気遣って、許して欲しくばドーナツを買えと落とし所を提示され、ミスドに連行されるのがいつものパターンだ。
しかし今回は卒園式。来月には小学校の入学式も控えているので、外部の資源を積極的に使って夫婦二人で外出できるような体制を築こうという話になった。その方法とは、訪問看護とヘルパーさんを繋いで、長時間シュウのお守りをお願いする、である。
この日のために、喀痰吸引が可能な居宅ヘルパーさんを訪問看護さんが来ている時間に手配して*1、日中の様子や医療的ケアの手技、気持ちいいことや嫌がることなど、シュウのケアのノウハウを共有する時間を設けていた。親がいない時に何かあってもしょうがないよね(ケアの事故責任ではなく、体調の急変時に立ち会えなくなる可能性について承諾します)的な契約書も取り交わす。こんなことをぽちぽちと、昨年の11月くらいから段取りしていた。
来てくださるヘルパーさんは普段、高齢者を中心に訪問している。だからシュウと過ごす時間は癒されるようだ。いわく「孫と遊んでいるみたいだわ〜(はーと)」。
毎日のように看護師さんはべらせて、ヘルパーさんも手玉にとり、自身はどこ吹く風。なんとも罪な野郎である。
今日のスケジュールは次の通り。
08:20 訪問看護さん到着 引き継ぎ
08:30 kikuo一家、出発。シュウお留守番よろしく〜。
10:20 ヘルパーさん到着。訪問看護さんからヘルパーさんへ引き継ぎ。
10:30 訪問看護さん終了。ヘルパーさん一人に。
12:20 kikuo一家、到着。シュウの様子を聞いて終了。ありがとうございました!
※beginの曲を聴きながら、うたうた寝ていたようです。
訪問看護と居宅ヘルパーを組み合わせれば、夫婦揃ってお家を空けることは可能となった。4時間あれば大体の用事は済ませられる。もちろんレジャーとかに使う気は無いが、気持ちだけはきょうだいみんな平等でいたいので、こんな使い方ならアリだなと思う。実地研修が終わるまでちょっと時間はかかるが、新しい出会いだと思ってヘルパーさんを迎えると、彼の人生も少し華やかになるだろう。そういう意味でもやって良かったなと思う。
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このような調整ができたのは、退院と同時に相談支援専門員さん*2と契約したのが大きい。個人での調整もできなくも無いが仕事の合間を縫って、訪看、ヘルパー、長女たちの予定、妻の予定を調整してサービスを組み込むのは、はっきり言ってすごく手間だ。こういうのは専門家に依頼するに限る。
お願いしているのは、僕が監事を務めるNPO法人の方なのだけど、お節介焼きのおばちゃん(と言っては失礼だが)のようにガツガツとサービスを提案してくれるので、税金を使うことに負い目を感じ障害福祉サービスに疎遠になったり、家に籠りがちになったりしてしまう家族にとって、とてもありがたいのである。
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その他、子を置いて長時間外出する手段としては、訪問看護師を自費で雇うとか、医療型障害児入所施設へのレスパイト入院とかが挙げられるだろうか。しかし前者はお金がかかりすぎるし(1時間1万円のところもある)、後者は1歳児未満を受け入れるところは少ない(障害者総合支援法で定められているわけではなく、リスク回避のため)。
シュウのように、重度の障害、更に医療的ケアありだと、その介護負担は家族に、そしてそのほとんどはママに重く、のしかかる。だからこそ使える資源は、積極的に使ってもらいたい。子どもと離れられない気持ちも分かる!社会に対して負い目もあるのかもしれない。だけど僕は、ママがどうすれば楽になれるのかを一番に考えていいと思ってる。だって自分が心身ともに健康じゃないと、子どもを育てていけないでしょ。社会に頼っていいんです。一緒に子どもを育てていきましょう。
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