顆粒の声を聴け!
11月23日午後8時過ぎ、千葉県にある閑静な住宅街でEDチューブが閉塞する事件が発生した。容疑者は30代の女性。彼女は概ね容疑を認めており、取り調べに対して以下のように供述している。
「本当に、純粋な親心からだったんです。だって来月には1歳6ヶ月になるんですよ。普通のお子さんなら離乳食を終えて、大人と同じ食べ物を食べる始める時期じゃないですか。同じおかずを取り分けて、家族の団欒を楽しむことができる月齢になるんですよ。それなのにシュウはまだ水とお薬と森永乳業はぐくみの味しか知らないんです。いや、もちろん、森永乳業の母乳品質、こだわりクオリティを否定している訳じゃないんです。消化吸収のよいペプチドのおかげで順調に体重も増えてきているし、ビフィズス菌を増やす3種類のオリゴ糖が腸内の調子を整えてくれて、今では浣腸なしに自分の力でウンチも出せるようになったんです。でも栄養成分の量とバランスが母乳に近いからといったって、結局は化学の味じゃないないですか。ねるねるねるねと同じですよ。お姉ちゃんたちと一緒に私の手料理を食べさせてあげたい、手作りの料理ですくすく育って欲しいって考えるのは間違った感情じゃありませんよね。本当に、純粋な親心だったんです」。
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妻が突然、看護師や医師の指示があったわけでもなく、シュウにも味噌汁を飲ませてみようとEDチューブに流し入れた。事前に相談はなし、本当に突然の出来事だった。ラブストーリーかよ。
なぜこんなことしてみたのか深い理由はないと思う。多分ノリだ。崇高な理由を与えるなら親心だろう。もちろんチューブの内径が細いのは承知しているため、上澄みだけ。しかし閉塞した。びっくりする位すぐに詰まった。開通検定1級の腕をもってしても状況は好転せず、病院へ直行することになった。
今日の味噌汁の具は豆腐、玉ねぎ、油揚げ。ほんだしで出汁をとり、味噌で味を整えた。豆腐は絹、油揚げは5枚入り100円の廉価品、玉ねぎはお隣さんに頂いた産地直送北海道産のものだ。それら適当にカットし、ティファールの小鍋に放り込み煮込んだ。料理研究家・土屋善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」にあぐらをかいた、特別なものは何一つ入れていないkikuo家では日常的な味噌スープである。具材をジューサーミキサーにかけた覚えはない。チューブに通るほどの細かな具材はないはずなのだが。。。
「えっ、マジで?マジで詰まったの??」
「勘弁してくれよ〜。負担被るのオレだぜェェ?」
「ほっ、本当に行くんすか、、、?」
そして連行される。
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病院へ連れて行った結果、すぐに開通した!!入院覚悟で行ったため、嬉しい誤算である。診療から帰宅までに3時間くらいかかったが、入院するより遥かにマシだ。病院のベットより自宅の布団の方が良いに決まっている。
しかしながら先生の手技は素晴らしいの一言に尽きる。シリンジを使い力一杯押し出そうとしても解消しなかった閉塞を、1時間以上格闘していても解決しなかったトラブルを、ものの数分で開通してみせたのである。やはり素人ではない。この一連の所作は、合理的な体の運用により体格体力によらず相手を制することが可能な、合気道に通ずるものを感じた。先生が合気道の達人かどうかは確認はしていないが。
味噌汁で詰まっちゃって〜、サーセン!とお話しすると先生は、
「(ほんだしの)顆粒が原因かなあ?こういう時はkikuoさん、焦らずに顆粒の声を聴くんですよ」
kikuoも精神的な境地が技に現れることを信条とするEDチューブ開通の達人になりたいもである。
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いやー今日も長い1日でしたな、なんて話を妻としながら夜のお薬をEDチューブから入れようのした刹那、閉塞。マジンガー。
EDチューブがまたへーそくーー!
なぜーーー!!
味噌汁いれてないよーーー!!!
お薬の声も聴かなきゃだめなのーーーーー!!!!
この時点で午前零時。
寒空の下、車を出発させる妻を見送り、(kikuoの)長い一日は幕を閉じたのであった。
こんな日に限って空気が澄んでいる。星が輝いて見えるのがムカつく。
後で妻に確認したら、色々と手続きが終わり帰宅できたのが午前4時過ぎだったそうです。そしてシュウは入院となりました。やれやれだぜ。