脳性麻痺の子供へのケアの不備を休日に挽回する
7:30。
休日だというのに珍しく妻が早起きしているなと思っていたら、今日は女子チームでお出かけする日だった。危ない危ない。忘れてたなんて口が裂けても言えない。
8:30。
旦那総選挙があったら一発でセンター取れるであろう100パーセントの笑顔で出発する3人を見送り、シュウと二人の休日が始まった。
と言ってもミニバンのCMでみられる、ものより思い出な休日をすごす訳でもなく、家の外から一歩も外に出ない1日であった。これには深い訳がある。
一昨日、夜間注入用の液体栄養剤がチューブから全て漏れているという事件が発生した。その量、約500ml。犯人は俺。寝ぼけならが夜間ケアの準備をしていたのが原因だろうか。手続きの不備は全く記憶にないのだが、とにかく全て漏れていた。
現場は地獄絵図と化していた。布団はズブズブに濡れ、持ち上げると液体栄養剤が滴っていた。もちろん畳にも染み込み、いくら拭いても染みが取れない。部屋中に、甘ったるい独特の匂いが充満していた。
発見したのが妻だったというのもまずかった。その日kikuoは朝から仕事に出ており、朝のケアを託していたのだ。
「ラコール(液体栄養剤)が漏れていて布団も畳もビショビショです。何回拭いても匂いが取れません。あとで畳を上げてください。ボトルとEDチューブの接続部は漏れても問題ないところに置くように意識してください。」
10時過ぎ、妻からラインが入った。普段は口語体で送られてくるのだが、事務連絡のような文面。抑揚がなく、感情の読み取れない文章が不気味だった。寝る前に貴女も確認すればいんじゃね?と入力しかかったが、そんなこと言えば火に油だと思い直す。どんなにヒットを重ねていても、一回のエラーで全て無かったことにできるのが女性の得意技だぞ、死んだ爺ちゃんが言ってたっけ。
申し訳ございません、と返信した。
そのようなことがあったので、本日は和室の畳を上げ床を乾かし外で畳を水洗い匂いを消す、という課題を解決しなければならなかったのだ。冬場の水の冷たいことよ。アカギレは家族への愛の証と思うことにする。
その後は今更ながら借りてきた、君の名は。をシュウと共に3ターン連続で鑑賞し三葉に萌え、ユーチューブで劇中歌をエンドレスで聴き、久々に2人でお風呂に入って今に至る。風呂でシュウは、気持ち良さそうに寝ていた。
外出はしていないから金銭の支出は発生はしていない。当然、物質的なものは何も手に入れていない。しかし今は、シュウの布団はお日様のいい匂いがし、部屋からラコールの匂いは取れた。旦那総選挙でセンター取れたし、何より妻からの信頼も獲得した(推測)。これもある意味、ものより思い出である。
こんな休日ならまぁいいか。