障害者と健常者の接点を探る

主夫による脳性麻痺の子供の話。ご意見ご感想頂けると大変嬉しいです。m.jigglerアットマークgmail.com

保育所入所申請書類を出した

11月の末、シュウの保育所の入所申請書類を提出した。

来年6月10日が3歳の誕生日であり、それはつまり妻の育休終了日でもある。

それに向けて、公立保育所へ入所できればいいなーという思いがある。

 

仕事でこの一年、医療的ケア、重度の障害がある子どもの保育事情を調べてきた。

そして、少数ではあるが、医療的ケアがあっても公立の保育所入所が決定されたケースが過去にあることが分かった。

しかし、結論から言えば、シュウの保育所の入所は難しいのではないかと感じている。

 

医療的ケア児といっても様々なレベルがある。

 

シュウのように寝たきりで常にケアが必要な子もいれば、胃ろうや気管切開をしているものの自分自身で動ける子もいる。更に自分自身でケア(例えば自分で吸引するとか!)してしまうような子もいるのだ。

入所が決定した子どもについて、その時関わっていた医療関係者や子が入所していた時の保育所所長へのインタビュー、市役所の幼児保育課への医療的ケア児の入所の現状のヒアリングなど、実際に入所できた事例を多角的に分析した結果、入所決定について一つのラインが存在することが分かった。(もちろんどの方もはっきりとは言わないが)

 

そのラインとは、「自分で動ける(二足歩行できる)かどうか」

 

保育は集団生活の場であるから、医療機器があることによって他の子どもたちにリスクが生じてはならない。また、寝たきりの子が活発に動く子どもたちの集団の中で、どう関りを持てばいいのか?寝たきり放置のままでは保育というと言わなくない?それに建物バリアフリーじゃないし。であるならば、未就学の障害児を対象にした児童デイ(児童発達支援)を利用すべきでしょ、というのがロジック。自分で動けるこなら上記項目はある程度解決できる。

 

でも児童デイ(児童発達支援)ではフルタイムで預けられないから親は復職できない。というわけで親の就労保障はどうすんの?という疑問については、特別児童扶養手当や小児慢性特定疾病医療費助成制度、確定申告時の障害者控除があるから、復職しなくてもいいでしょ。自宅でみてね!という社会的な空気がある(気がする)。

あと、障害があるんだから預けるのかわいそう(ロジック不明)という空気感もある(ひしひしと感じる)。

 

まあ、いろいろ書いたけれども、保育所入所には全然期待していない。出さなければ入所の検討すらされないから、出すだけである。入所できたらラッキー!落ちたらだよねー、だ。

 

以前どこかの記事に書いたような気がするが、保育所の入所にならなかった場合、妻が復職する。つまりkikuoが退職し、専業主夫になる。お互いの職種、性格、仕事に対する考え方、収入、1人の人間として歩みたい人生、その他諸々の要因を家族という単位で検討した結果、kikuoが退職するのが合理的だという判断に至った。と言っても膝を付き合わせて議論を戦わせたわけではない。相反する価値観をさらけ出し、重なり合うところを探したわけではないから、これが朝まで生テレビならば田原総一郎は困惑したに違いない。オレ辞めるので後のこと夜露死苦ゥゥ!!!で終了したからだ。(そして妻の反応も、それも良いわねみたいな感じだった。

 

不思議に思われるかもしれないが、保育所落ちた日本死ね!的な感情は一切ない(もちろんその感情は理解できる)。辞めることに対する迷いは全く湧かないのである。愛と勇気と希望を伝える現代のアンパンマン的ポジションである某海賊浪漫譚風に言えば、専業主夫に、オレはなる!といった心持ちである。

 

その理由は、人生どうしようもないことは必ず起きるものであり、その時に、抗い、自身の資源を浪費するよりも、その状況に自分がどう変化すべきなのか考えを巡らす方が人生を楽しめると考えているからだろう。無理なものは無理と早めに諦めて、次の機会について自分の在り方を検討した方のよほど建設的だ。したがってこの機会はある種の社会実験だと捉えている。専業主夫でさえ珍しいのに、重度の脳性麻痺があり医療的ケアが常時必要な子を育てる主夫って中々いないでしょう。そんな生活送っている人、全国津々浦々探しても一握りだ。こんな珍しい体験できるのなんて、金銭的な価値では測れないとさえ思う。そんな訳でどういう生活になるのか(そしてkikuoにどのような変化が起こるのか)ちょっと楽しみなのである。

 

結果でたらまた共有いたします。

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士/非営利組織専門の広報戦略コンサルティング会社 JIGコンサルティング代表 https://www.jig-consulting.com/

2016年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、キャンプ、子どもを追い回すこと。千葉県生まれ。
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