重症新生児仮死でも誇らしい

昨日、母体の1ヶ月検診がありました。

 

診て下さるのは当然ながら帝王切開を行った病院、つまりあまり思い出したくない過去があるところ。そんな訳で数日前から妻は暗い顔をしていた。出産後すぐ、追いかけるように息子のいる医療センターへ転院となったため、妻は主治医から詳しい説明を受けておらず、もやもやしている様子。現状を受け入れつつあるとはいえ、38週までトラブルなく育ち、出てきたら心拍停止だったのだ。帝王切開の判断がもう少し早ければ、、、と思うのも無理はない。

 

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母体は順調に回復していて、帝王切開した傷口に感染もありませんでした。あまり体力がない妻、息子と一緒に生活してない分母体の回復はお姉ちゃん2人の時よりも早い。なんか皮肉だよねと苦笑い。その分考える時間はとても多くなる。

 

誰かに影響力を与えることが人の価値と仮定するなら、うちの息子は偉人レベルだ。僕にとっては村上龍Miles Davis寺山修司Beatles山野井泰史Flaming Lips峯田和伸と同列だ。オラオラと心を揺さぶり身体を張って半ば強引に価値観を変えさせる手法は見事としか言いようがない、なんてことを考えながらふと顔見ると何喰わぬ顔で寝てたりする。少しは親を気遣え!

 

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出生時の一連の流れを聞くことができ、持っていた疑問もぶつけることができました。胎盤剥離もなく臍帯も特に異常なし。羊水の量は少なめだが許容範囲内で、帝王切開を決定した時点での赤ちゃんの心拍は100程度あり、一般的にみて決断が遅いとは言えない。つまり、重症新生児仮死で生まれた原因は不明というのが結論でした。もう少し早くお腹を切っていればとは思ってしまう。しかしそれはあくまで結果論。医療は魔法じゃない。あの時下した判断が、子ども、母体を含め全体をみた上での最善の策であったならば、もう何も言うまい。

 

自然の摂理に任せていたら、息子の命は6/10で終わっていた。頭撫でることもだっこすることもなく一緒に暮らすために頭を悩ますなんてこともなく、ただの悲しい思い出で終わっていたはずです。そう考えたら、今、この時間、この経験は、息子らからのサプライズプレゼントみたいなもの。今後も何をくれるのか鬼が出るか蛇がでるか知らないけれど、しっかりと味わっていきたい。きっとそれが僕たち親の責任であり役割なんじゃないかと思う。蘇生してくれた先生たちには本当に感謝しています。ありがとう。

 

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主治医の話によると、息子レベルの重症新生児仮死児の出生率は10万人に10人も満たないらしい。うちの子がどのレベルにいるのかというと、、、

 

出生時に心拍停止で生まれてくると3段階の蘇生処置を施すそうです。第1段階が胸骨圧迫、第2段階が気管挿管、第3段階が強心剤の投与。うちの子はその3段階目まで行った、というレベルで、つまりそれが10万人に10人も満たないという意味。そこから更に命を繋ぎ止めるのは更に少なくなるため、本当にレアケースだったようです。病院をあげて僕たちのケースを検証しているという話が印象的でした。

 

何万人かに一人の子がわが息子。

 

とても誇らしくなりました。

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、キャンプ、子どもを追い回すこと。千葉県生まれ。
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【m.jiggler@gmail.com】