読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ソーシャルワーカーという仕事について

川沿いの土手で、あるいは街の中にある公園のベンチでもいい。一人になれる場所で何もせずにぼーっと過ごす時間は、心身のバランスを取る上でとても重要だ。木々を揺らす風の音、ボールが風に飛ばされて騒ぐ子どもの声、電車は線路を揺らし、事故だろうか遠くで救急車のサイレンも聞こえてくる。でも、聞くだけ。目をつぶり、思考を始めようとする脳を休める。脳に時間だけを通過させる、と表現すればいいのだろうか。ともかくこのような時間がなければ、今の仕事はできないとなあと僕は思っている。

 

人間の奥深さ、業、社会の陰部を覗くには、ソーシャルワーカーという仕事に右に出るものはない。例えばワイドショーでよく見るようなゴミ屋敷を、どう片付けようかと行政と知恵を出し合うことはよくあるし、石原慎太郎が私の財産を狙っていて盗聴器も仕掛けられたと、警察や近隣住民に不安を訴える中年女性をサポートすることもある。今日明日のご飯さえ困っているような人をサポートするために、医者や弁護士など社会的に地位の高いとされる人と連携したりする。人やものの中間に立ち、両者を繋ぐ役割を担うソーシャルワーカーの自分としては、繋ぐ人と繋がれる人を比較してムムと考えてしまうのだ。同じ人間なのに、なんでこんなに違ってくるのかな、と。

社会システムによる再配分機能が働いていると言ってしまえば聞こえはいいが、再配分することなく自力で生活できればそれに越したことはない。社会主義でない限りそれは難しいのかな。詳しくないから分からないのだけれど。

 

このモヤモヤは比較してしまうという人間の性が原因なのかもしれない。さらに児童虐待の現場を目の当たりにすると、モヤモヤは涙に変わりそうになるから困ってしまう。

 

ライフラインは全て止まった。電気、ガス、水道の料金を何ヶ月も滞納し、現状は払うアテもない。鬱蒼とした居間はカーペットはひいてあるがじっとりと、湿っている。天井の隅は蜘蛛の巣と埃で見えない。ホームレスの方が衛生環境がいいのではないかと思えるほどの家。今は支援団体から送られてくるカンパンなど食料と、東京電力が恩赦で送電している100wの電気だけが頼りだ。そんな中で、小学校へ通う子どもたちが暮らしていた。何日も風呂に入っていないだろうと確信できる、すえた匂い。爪は長く汚れが詰まっている。兄弟が無邪気にババ抜きをしている姿が唯一の救いに思えた。カビ臭く照明もない薄暗い部屋は子どもの純粋さを際立たせるのかもしれない。彼らの目に曇りはなかった。親を信頼している目。それがとても印象的だった。

 

こんな状態になるまで親は何やってたんだと、正直言うとぶっとばしたくなる。(もちろんそんなことしても無意味なのでしないが。。。)無責任にもほどがある。自分の役割を考え、その中でどう振る舞い行動すれば責任が取れるのか、ということを一切考えていない親は世の中にはいるのだ。とても悲しいけど。

 

原因は様々あるだろう。親にもきっとやむを得ない事情があったはず。そのようにして、今の状況を作り出したのは環境因子が原因だと思いたい。というかそう思わないと、この仕事は続けてられないなあと思う。個人に原因を求めたら、僕らは何もできなくなってしまう可能性がある。

 

こんな愚痴っぽいことを書かずにはいられなかったのはきっと、自分にも子どもがいるからだろう。ネグレクト環境下にいる子ども、平均的な家庭環境下にいるうちの子ども。うちの子は今隣の部屋でお腹を半分くらい出して寝ているのだけれど、一方で貧困世帯にいる子どもたちはどんな夜を過ごしているのだろう。想像すると、いたたまれない。子どもに罪はないのに。

 

--

シュウが最近体調がよくない。だから気が立ってるなあと自覚している(そしてこの記事を書く一つの要因にもなっているはず)。そのために明日(というかもう今日ですね)4/20に病院へ行って精密検査を受ける予定でいます。入院にならなければ良いのだけれど。そのへんはまた後日、改めてまとめますね。では、おやすみなさい!

 

----------------------------------------------------------------------------------------

プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

社会福祉法人 松の実会 評議員 / NPO法人 こども子育て・発達支援研究会 監事

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、子どもを追い回すこと。1985年千葉県生まれ。
ご意見、ご連絡はお気軽に下さい。とても励みになります。
【m.jiggler@gmail.com】