【医療的ケア児における災害時の備え】台風19号、自宅内避難日記
関東甲信越、東北と甚大な被害を残した台風19号。凄まじい勢いでした。
kikuoは千葉県在住のため進路とモロ被り。叩きつける風雨で窓が割れてしまうのではないかと心配になるほど強烈でしたが、幸いにも大きな被害を受けることなく、現在は落ち着いた生活を取り戻しています。
一方で被災された方々も大勢いらっしゃいます。1日も早く落ち着いた生活が戻ってくるように願うばかりです。
自宅付近の川の様子。水が引くのは数日かかりそう。
実はkikuo家がある地域は避難勧告(崖崩れの可能性があるため)が出されておりました。ピーク時にはきちんと(?)停電も発生し、10時間ほどでしたが、医療ケアが必要な子を育てながらの無電力生活を体験しました。
しかし、備えあれば憂いなしとはよく言ったものです。
妻が仕事により不在(インフラ系企業に勤めているため、有事の際に忙しくなる)と言う悪条件の中、事前に準備し、行政などが出す情報を逐一情報をチェックしていたため、実はそれほど苦労なく、そして心配することなく過ごすことができました。kikuo家の経験や備えは誰かの役に立つかもしれません。簡単ですがまとめてみます。
●目次
台風19号通過における生活の時系列
10/6日〜10/11金
台風はとても不気味です。数日前には太平洋上に発生し日本列島へ向かって進んでくるわけですから、我々は厄災が来るのを待たなければなりません。しかしポジティブに捉えると、準備する期間が与えられるのと言えます。台風19号は10/6日に発生し、日本列島が暴風域に入ったのが10/11金ですから、この間にkikuoも準備を進めました。とは言っても行なったことといえば、車のガソリンを満タンにした程度。後述しますが我が家はキャンプや登山を趣味としているため、家がダメになっても外で生活する道具は揃っているし、非常食も常備しているため、社に鎮座する阿修羅のごとく台風19号を待ち構えておりました。来るなら来いやこのアホンダラァ!
10/11金
この頃には超巨大な台風になることが報道されており、公共交通機関の計画運休や店舗の臨時休業などが発表され始めます。kikuo家の周りも慌ただしくなってきました。
まず妻が、電車が運休する前の12(土)午前中に出社し、そのまま宿泊。翌13日(日)仕事をして帰宅することが決まりました。幸い近くのビジネスホテルを取れましたが、同僚は予約取れず、会社事務所で過ごした方もいたようです。
あとは、医療機器メーカーから、防災についての確認の電話がありました。
難病児の医療費助成を管轄している保健所、東京電力パワーグリッドからは10/10(木)の時点で同様のお電話をいただいております。ほんと多くの方に支えられているのなぁと実感しました。
10/12土
05:00
起床。雨は降り始めていますが、小雨。風も特になし。大事をとって早朝ランニングは諦めることにします。
10:00
妻を駅に送り届けるため車へ。既に暴風雨。ロータリーから改札に入るまでの数十メートルでびしょ濡れになった様子。これでまだ上陸してないんかい!と思うほど強く、ワイパーを超回転させても間に合いません。
帰宅時にコンビニを覗くと、多くのお客さんが非常食を買い求めていました。kikuoは特に必要ないので、まるごとバナナを1本買って車内で遅めの朝食を済ませました。まるごとバナナ考えた人天才かよ。
15:00
ピーク時に電気ガス水道が止まることを想定し、早めに夕食の準備を始めます。シャワーを浴び、風呂桶に水を貯めます。情報収集のために、SNS(インスタ、ツイッター)アカウントを取得しました。NHKラジオをつけて、台風の大枠情報を聞き流します。
子らは台風のことなど何処吹く風で、ユーチューブに噛り付いていました。シュウも特に変わった様子なし。
16:00
居住地域に避難勧告(がけ崩れ)が発令されていることに気づきます。お隣さんに情報共有。防災無線が流れていたけど、音が反響しまくり、更に暴風雨の轟音でかき消されて何言ってるのか全く分かりませんでした。
崖崩れによる避難勧告と言っても、自宅が斜面に面してるわけではありません。同地域内に崖があり、三軒ほど距離も離れているので、仮に崩れても生き埋まることはないだろうと判断し、自宅待機としました。
もちろん、シュウの医療ケアに対する不安もありました。避難所へ行くと、自宅で受けているケアが受けられなくなる可能性が高く、体調悪化も懸念されます。がけが崩れる可能性と、避難所で過ごすことによる体調悪化の可能性を天秤に掛けて、前者の方が可能性は低いと判断しました。自宅内でできる最大限の対策をとることにします。
居住場所を1階リビングから、2階子供部屋へ移動。水食料、医療機器を二階へ上げるために階段を行ったり来たりするkikuo。一方子らはまたユーチューブ見てる!干妹うまるちゃんにハマり過ぎ!!
2階に移動するぞ!と発破かけたら、まずぬいぐるみを移動させたのには笑った。
20:30
シュウが荒ぶる。全身が赤くなってる。まさに阿修羅。分泌物も多め。気圧の影響でしょうか?ピークが近いから?発熱もありました。原因不明の発熱は日常茶飯事なので、とりあえず様子見。少し早いが就寝準備を進めます。
21:00
台風が東京に到着。時折吹き付ける突風に、ついに次女がうまるちゃんから目を離す。
kikuo家には TVがないため、逐一TVを写した写真が妻から送られてきた
21:30
停電する。お隣さんにラインし、状況把握。窓から確認すると一帯に電気がついていません。kikuo家だけでないことを確認して、枕元に準備していたヘッドライトを装着しました。
厳戒態勢のシュウ
妻に停電した旨を連絡し、復旧の目処不明のため、スマホの電源を切ることを伝えます。次の連絡は、トラブルが起きた際、もしくは翌7時としました。
シュウに薬を飲ませて、寝かせます。
ツイッター、防災警報などを流し見した後、寝ることにしました。
10/12(日)
3:30
目が覚める。既に雨が止んでいましたが、電源は復旧しておりません。
スマホに電源入れると、妻から台風情報の経過がラインに入っていました。主治医と保健所から着信の履歴あり。ツイッターなどでザーッと状況を把握。その後、外へ出てみました。
車にも家にも、目立った被害なし。近所一帯も同様。一安心。台風通過後特有の晴れ渡る夜空で、数時間前は暴風雨だったのが嘘のような、静かな時間が流れていました。
東京電力パワーグリッドのバンが徐行しながら走ってきます。電線を一本づつ確認し、飛来物や断線箇所を探している様子です。夜な夜な作業しているのでしょうか。頭の中下がる思いです。
電気が何処もついていないので、暗闇の街。空は雲ひとつなく、星空がとても綺麗でした。
7:30
起床。既に電気が復旧してる!
スマホに電源入れると、多くの方から心配のラインが入っていました。何かあったらウチ来てとか、何か必要なものある?とか。皆さま優しすぎ!
妻や関係各所に、安心してください、生きてますよ!の連絡をし、kikuo家の被災生活は終了します。13時には市内の避難情報も全て解除されました。
備蓄品について
kikuo家にはこれでもか!というくらい水食料や道具がありました。電気ガス水のインフラがダメになっても、一週間は大丈夫っしょ!と思える量で、これが心の余裕を生んでいたように思います。
水
2L×18本を常備。消費期限が近くなると、飲料水として使い、新しいものを購入しています。災害時は手に入りにくくなる水。何もない時から準備しておきたいものです。
蒸留水
シュウの呼吸器に使う蒸留水。いざとなれば飲用も可能。いつも10本以上はストックするようにしています。暇な時はボーリングに見立てて遊ぶことも可能な万能型の蒸留水です。
ヘッドライト
懐中電灯ではなく、ヘッドライトがお勧めです。両手が空くのでとても楽チンなんですよ。
ランプ部分にビニール袋を被せると簡易ランタンにもなります。
お勧めヘッドランプはこれ↓
GENTOS(ジェントス) LED ヘッドライト 小型 【明るさ95ルーメン/実用点灯7.5時間/赤色サブLED】 単3形電池1本使用 CP-095D 登山/釣り ANSI規格準拠
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まず何と言っても単三電池1本で7.5時間も点灯する点が良いです。単三電池は入手性が高く、凡庸性もありますもんね。更にIP64準拠の耐塵防滴なので、雨天時にも使用可能(完全防水でない点には注意)。値段も安価であるため、初めてのヘッドライトであれば間違いはないと思います。
火を起こす道具たち
キャンプ用、登山用、自宅用と3種常備。多分に趣味の領域に入っているので一般家庭にはこんなに必要ないと思います。が、アウトドアの道具は災害時に大活躍するものが多いのも事実です。参考にしていただけると嬉しいです。
山用:プリムスバーナー
超小型、手のひらサイズ。kikuoは登山で愛用しています。ガスカートリッジも、ホームセンターで手に入るのでお勧めです。
PRIMUS(プリムス) GAS CARTRIDGE ハイパワーガス(小) IP-250T [HTRC 2.1]
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キャンプ用:MSRバーナー
MSRバーナーの利点は、灯油やガソリンを燃料とできるところです。手に入りやすい燃料で着火できるのは、災害時に有利に働きます。kikuoはキャンプや自転車ツーリングの際に愛用しています。
MSR シングルバーナー・ストーブ ウィスパーライト インターナショナル 灯油/ガソリン用 【日本正規品】 36633
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エムエスアール(MSR) バーナー・ストーブ用 燃料ボトル チャイルドロック機能キャップ付き 590ml (20オンス) 36831 【日本正規品】
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自宅用:卓上コンロ
一番身近な卓上コンロ。これからの季節に大活躍!どこの家庭でも一台はあるかもしれませんね。ただ災害時はガスの入手が困難となる場合が多いので、常にストックするようにしておきましょう。
イワタニ カセットガス オレンジ 3本組 CB-250-OR
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電源関係
単三電池
予備電源やヘッドランプなど、電池の規格を統一しておくと、汎用性が高まりよろしいかと思います。
kikuoはヘッドライトを装着して山に走りに行く機会が多いので、単三電池は多めに常備しています。
このほか、単三エネループを8本常に充電してあります。
PC
スマホの給電としても使えます。停電まで充電しておきました。
モバイルバッテリ
ブルートゥースイヤホンなのですが、モバイルバッテリとしても使用可能。お勧め。
その他
テント、寝袋の準備がありました。これらがあれば家がダメになっても最悪なんとかなります。避難所行けばテントは不必要かもしれませんが、寝袋はあっても良いかと思います。毛布なんかより数段、暖かいのですよ。
モンベル製品がお勧めです。店舗はどこにでもあるし、アフターフォローも充実。安心の日本メーカー。基本的に日本人スタッフが商品発案しているため、海外メーカーよりも痒いところに手に届く機能が多い気がします。
モンベル(mont-bell) 寝袋 アルパイン ダウンハガー650 #3 バルサム [最低使用温度0度] BASM 1121267
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食料は特に用意していません。
バーナーと水さえ有れば、米は炊けますしパスタも茹でることができます。米は10キロ以上残っており、蕎麦うどんパスタも大量にある。塩味噌オリーブオイルもストックがあったので、追加購入はしませんでした。
シュウ関連で準備していたもの
お尻拭き
お尻拭き大好き世帯のkikuo家です。食べこぼした床を拭いたり、ウェットティッシュにしたり。お風呂は入れない時は、これで体を拭くとスッキリするはずです。常に15パックは常備。
オムツ
抱え込みすぎのオムツたち。
3歳以上の肢体不自由者には、市からオムツが支給される(日常生活用具の給付) ので、大量にストックされています。
くすり
2週間に一度、薬局さんが薬を届けてくれます(在宅訪問調剤管理指導)が、常に10日以上のストックを作るようにしています
ラコール
シュウの栄養剤。日々これを摂取しています。常に10日分ほどストックあり。カルーアと混ぜると栄養素満点のカクテルになるとか。
パルスオキシメーター(Masimo Rad-5リラックマ仕様)
災害のために用意したものでなく外出用に購入していた訳ですが、、単三電池4本で30時間もバッテリーが持つという優れもの。マシモのRad-5(リラックマ仕様)恐るべし。
吸引機(ブルークロス HA-210)
こちらも災害のために用意したものでなく外出用に購入し日常的に使っているものです。kikuoイチオシ、大好きなアイテム。楕円球体部分を握り、シュポシュポして吸引します。握力の向上やボケ防止にも繋がる一石三鳥のハイテク商品。詳しくは下記レビューをご参照ください。
以上のものを、50Lの登山用バックパックに詰め込み(水以外)、いつでも避難できるように備えておりました。
姉たちの装備
小学校3年と1年の姉たちについては、常日頃から防災バックを作っており押入れにしまってあります。ここぞとばかりに引っ張り出してきて、枕元にセッティング。
暇を持て余すであろう避難所生活を想定し、遊び道具を入れているのが特徴です。
パッキング内容は以下の通り。
- 軍手
- かっぱ
- マスク
- ワセリンなどの保湿剤一式
- コップ
- エマージェンシーシート
- 歯ブラシ
- 懐中電灯
- ミニライト
- お絵かき帳
- 色鉛筆
情報収集について
情報収集のために、ツイッターとインスタのアカウントを取得しました。
ローカル情報はツイッター中心に集めました。既存メディアの報道よりも圧倒的にスピード感がありますし、写真や動画の投稿も多く状況がありありと伝わってきます。しかし一方で、真偽不明な情報も多く、一時情報に当たることも心掛けました。
例えば氾濫すると自宅に被害の及ぶ可能性のある河川については、逐一ライブカメラを確認していました。
アメダスで今後の雨雲の動向も掴みます。
もちろん市HPの防災情報も逐一確認しました。
その他、通電中はラジカセからNHKラジオを流しっぱなしにして、俯瞰的な台風情報をキャッチできるよう勤めました。
kikuo家にはTVはありませんが、ツイッター、ネット、ラジオの3つで十分な情報を取ることができたと思っています。
自宅内避難を振り返って
以上が、自宅内避難の際に行なっていたこと、備えていたことの全貌です。
日頃からの備えがあったので、医療的ケアが必要な子どもがいてもなお、心に余裕があったのが正直な感想です。停電になった際も、やることないし寝よ寝よといった感じでした。ケアの少なくなる夜間帯に停電になったということも、ある意味ラッキーだったと思います。
節約のためスマホの電源を切る際に、妻に行動の予定を伝えていたことも周囲の混乱を排除する要因となりました。というのも、シュウ関連の電話はまずkikuoに来ることになっており、停電直後、様々な支援機関から電話があったのです。kikuoの電話が繋がらないため妻に電話が回り、「やることないので今アイツら寝てますよ、次の連絡は明日の7時です」という方針が伝わったため、無駄な心配を掛けずに済みました。手前味噌ですが、地味にファインプレーだったと思います。
もちろんシュウが常時呼吸器を装着していたり、実際に自宅が被災していたりしたら、取るべき行動は違ったはずです。kikuoも取り乱していたことでしょう。しかし、そういう条件であればまた、事前に準備できることもあるはずですし、被災時の必需品のベースはさほど変わりませんから基本的な備えは今回と同じになることでしょう。
事前準備と早めの行動、情報収集、そして自分自身の行動の見通しを伝えたことが、何事もなく朝を迎えることができた要因だと思っています。
自然災害はいつ来るか分からないからこそ、日頃の準備が大切ですよね。準備をしていれば心的ストレスはこんなにも少ないんだな、と実感した週末でした。
他の方がどのような備えをしていたのかは存じ上げませんが、kikuo家の備えが、安心を生む1つの基準になるかと思い本日記を書きました。参考にしていただけると嬉しいです。
また、こんなのいーよ!という情報もあればぜひ教えてください。
それでは、また。