タイトル特になし
アクセス解析を見てみると、シュウが生まれて一か月程たった時に書いた下記記事から幣ブログに流入してくる方が多いようだ。
この記事内容や、流入背景から推察するに、読者の多くの皆様は、自身の子が生まれて間もない頃に幣ブログに辿りつくのだろう。
重度の障害をもち生まれてきた我が子、情報が全くなく今後の自分たち生活の見通しが立たない、検討すらできない、医者のいうことが曖昧で不安になる。。。これが健常児の子育てであれば親に聞く、友人に聞く、本を買うなどして容易に情報が集められるが、劇的にパイの少ない重症新生児仮死・医療的ケア児であればそうはいかない。
リアルの世界にナマの情報をくれる人がいないのであれば、必死になってネットから情報を集めようとするのは当然の姿勢だろう。グーグルの検索窓に「アプガースコアとは」「重症新生児仮死とは」「重症新生児仮死 予後」などと検索し、仕事の合間に、NICU通いの移動中に、夜な夜な、ネットサーフィンをする姿は容易に想像つく。というかkikuoもそうであった。そして悲観的な情報を見つけては抑うつ的になり、「重症新生児仮死 生きる意味」と検索して、幣ブログに辿りつくのが多くの方に共通する行動パターンなのだと思う。
当初はブロゴスに掲載されているような鼻息荒く社会を変える政策提言系、vs行政厚生労働省的なブログにしたかったのだが、そういう文章を書くにはまず膨大な量の文献や法令を読み込まなければならず、発信の際はSNS連動させて世論を煽り、そもそも三段論法の使い手にならないと説得力のある論理的な文章が書けないと分かり、ブログ開設初期の段階で挫折した。お気付きの方がいるかもしれないが、はてな有料会員も辞めた。スッカスカのミソっかす文章では広告出ようが出まいあまり関係ないと悟ったからだ。余談だが、kikuoは中学の国語の授業は5段階評価で2であった。しかも限りなく1に近い2。このままだと1にするぞと柔道黒帯パンチョ伊藤似の国語教師に脅され、それは受験に悪影響なのでやめてくださいと懇願したら(今思えば1も2も目くそ鼻くそだが)、授業中に発表したら2にしてやると提案された。目の前に人参ぶら下げられたkikuoは、走れメロスの音読をしようと授業中に勢いよく手を挙げた刹那、腹筋が崩壊した。なぜって「走れメロス」のメに×が付けられ、「走れエロス」になっていたからだ。その横にセクシーな女性を追いかけているメロスの挿絵。犯人はきっと三浦だ。先日教科書忘れたからと借りに来た際に、時限爆弾を仕掛けたに違いない。その爆弾が最悪のタイミングで爆発したわけだ。柔道黒帯パンチョ伊藤似の国語教師に事情を説明し何とか1は回避できたが(三浦は1だった)、そもそも2の実力しかないのだから、論理的な文章は書けるわけがないのである。
そんな訳で半ば逃げるような形で幣ブログは今のゆるゆるスタイルになった経緯がある。しかし、こんなゆるブロでも定期的に訪れてくださる方がいるのは事実。幣ブログを商品と捉えるならば、インサイドアウトよりもアウトサイドインの意思決定は重要だ。今は辛いかもしれないが、も少したったらアホなこと書けるくらい心に余裕が生まれるかもしれないと思ってくれる人がいるかもしれないし、大切なのは現実ではなく、捉え方だと気づく人もいるかもしれない。読んで下さった方が、少しでも生活に光を感じてくれればこんなに嬉しいことはない。おトクな情報が満載のブログではないと自負しているが、今後もゆるく続けていければと思う。
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上記行動パターンで示した通り、kikuoに直接メールをくださるのは、子が生まれて間もない時期にいる方がほとんどだ。というか全員そうだと思う。
今年の2月、読者の方からメールをいただいた。生後21日、子がまだNICUにいる中で幣ブログに辿りつき、メッセージをくださった。kikuoが父という立場でブログを更新し(ママブログは多いが父ブログは少ない)、最悪、人生詰んだ的な自分自身のはけ口として機能しないような鬱ブログではなく、障害は神様からの贈り物!的なスピってるブログでもなく、淡々と、ゆるく書いている内容であったため、メールを送りやすかったらしい。同じ父として色々と聞きたいと仰って下さったので、夜ご飯を食べに行った(幣ブログが出会い系のように機能しているが、相手は男性なので、誤解のないようお願いしたい)。
生後21日といったら右も左も分からぬ辛い時期だったと思うが、とてもアクティブに動かれていた。kikuoに会う前にはすでに児童発達支援の事業所を見学し、医療的ケア児を受け入れているNPO法人フローレンスの保育所説明会にも参加されたと言っていた。子が生まれてきた現状や生活、夫婦関係、更には障害福祉政策などを「部分最適」と「全体最適」という言葉を使い捉えている点から、すごく冷静で理知的な方だと思った。The Goalの全体最適化理論をリアルの世界で活用している、面白い方だった。
先日、その方からメッセージをいただいた。
「生後八か月半、その後も結局体調が安定せず退院することができず、亡くなりました。」
退院して家族で暮らし始めたら写真送ります!とラインを交換していたが、叶わなかった。いつかシュウと対面させようという約束も実現しなかった。
添付されていた、亡くなる少し前の院内で初めて服を着させた時の写真。
色白で、目がクリっとしていて、かわいい赤ちゃんだった。
八か月間の命、八か月間の3人家族、八か月間の父、八か月間の母。
この現実をどう捉えているのだろうか。kikuoには分からない。答えはそれぞれが見出すしかないのだろうか。
今はただ、ゆっくりと体を休めて欲しいな。
そして当事者だからこそあえて言いたい。
「お疲れ様でした。八か月間、よく頑張りましたね。」
ご冥福をお祈りいたします。
いつかお線香をあげさせてください。