VS.結婚式(本番)

kikuoと弟は全く違う人種だと言っても過言ではない。本当に同じ父と母なのかと思うほど性格、思考回路、交友関係などすべてが違うのだ。

kikuoは中学卒業後、工業系の学校に入学し、学生寮から通学していた。リケジョなんて言葉がない時代の工業系学校は悲惨で、共学ではあったが、そんなのただ受験できますよと門を開いているだけの状況。パンフレットを見ても女子獲得のためのマーケティングは皆無。男女比20:1、ほぼ男子高であった。工業系らしくボールを投げれば必ずオタクにあたるような状況で、それでもわさわさいる男子と仲良く過ごすことができればそれはまた青春の1ページに刻まれるのだろうが、kikuoは周囲と違ったことをすることで自己のアイデンテティを示そうとしていた拗らせ男子であったため、一匹オオカミ的なポジションを目指し、日々周囲に悪意を撒き散らしていた。盗んだバイクで走りだしたことはなかったが(こういった度胸はない)、タバコは吸うわ、革ジャンは着るわ、ロッケンロールは歌うわで今振り返っても本当にイタい奴だったと思う。ただ、オタクの中にタンクトップ+革ジャン野郎がいても受け入れてくれる懐の深い学校であったため、救われていた部分も多かった。

 

他方弟は、友人たちとワイワイと過ごすのが好きな奴らしい。らしい、と表現したのは実際に弟がどんな奴かわからないのだ。結婚式の最中に友人や上司のスピーチから得られた情報から「友人たちとワイワイと過ごすのが好きな奴」と推測された。

前述の通りkikuoは中学卒業後に寮へ入り、その後は一人暮らし、学校卒業後すぐに同棲、結婚とバタバタと大人の階段を登って行ったので、人格形成において多大な影響を受ける思春期を過ごしている弟の姿を、一つ屋根の下寝食を共にして何一つ観察できていないのである。

13歳までの弟は中々かわいげのある奴だったと記憶していたが、帰省中に見掛けるたびにその姿は変貌していった。肌は日サロで焼いているため松崎しげるのように黒く、ココルルの黒パンツに体のラインを誇張することを目的とした伸縮性の高い黒Tシャツ、先の尖った白いローファーを基本ユニフォームとしていた。肌も服も真っ黒だったため、ローファーの白が良く生えた。夜道で見かけた時は白いローファーだけが歩いているかのように見え、鬼太郎のゲタかよ!と突っ込んでしまったこともあった。

 

つまり弟を一言で表現すると、当時の言葉を使うとギャル男、今でいうとパリピなのだ。(実際にpartypeople_○○@~というアドレスを使っていた。)

男女比率1対1の普通高校へ通い、女子に対しても平然と名前で(お付き合いもしてないのに.....!!)呼ぶ弟。放課後はカラオケへ行き、ラウンドワンで盛り上がる弟。ウェィーと誰と構わずハイタッチする弟。友情イッキとか、ドドスコスコスコスドドスコスコスコスご馳走様が聞こえない!ヘイッ!とかなんのためらいもなくやる弟。兄弟なのにこうも違うのかと驚いてしまう。実際にやっていたのかは想像の域を出ないのだが。

 

主催がパリピなので出席者もパリピが多かった。恐らく彼らの車内は、ルームミラーにはしめ縄のような飾りがぶら下がり、アタッシュボード上部には毛足の長い白いファーを敷いて、西野カナやエグザイルやジェイソウルブラザーズを聞いて海やBBQに出かけるのだろう。実際にパリピ集団のBBQを楽しむTHEパリピ写真が式中の新郎新婦紹介VTRで使われていた。

それを見るたびに小1の長女は「肌がなんか焼き立てのパンみたいだね」とコメントしていた。やっぱ俺の娘だわ。

 

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結婚式の前日にW杯の組み合わせ抽選会があった。くじを引く役であったマラドーナの服はブラックスーツに発色の良い黄色の蝶ネクタイの組み合わせで、サッカーセンスは抜群だけど服のセンスは悪いなあとぼんやりTVを眺めていた。

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左がマラドーナ。このセンスは昔のプロ野球選手(例えば変な犬のイラストが描いてあるスウェット+18金ネックレス+セカンドバック、そして嫁とペアルック)を彷彿とさせる。青春時代を野球に捧げ、遊ぶことなど知らなかった奴がプロになったもんだから、服装にセンスの微塵も感じられない痛い君。洒落が何たるかを知らず、お金に物言わせるだけの服装には気品がないのだ。お金のある人は同時にセンスも持ち合わせて欲しいものだぜ。と激しく思う。

 

しかし次の日、シュウの服装をみてはっとした。

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発色の良い緑の蝶ネクタイであった。kikuo家も大概だな。サッカーセンスはないけどムチムチ感は似てる。

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新婦の母が熱心に話を聞いてくださったのが嬉しかった。

kikuoがシュウのケアの様子や出産の経緯を説明しようとしたとき、長女が変わりに「シュウちゃんは1回死んでまた生き返ったから自分でミルク飲めないんだよー」と説明してくれた。新婦の母はちょっと困った顔をしていたがそれも事実だし、まあいいかと否定はせず、補足説明をkikuoが行った。長女の説明を聞き、シュウのことよくわかっているんだなあ、それでもなお、弟として可愛がってくれているんだなあと感心してしまった。彼女が抱くシュウについての疑問やこれまでの経緯を包み隠さずに、彼女にも理解できる言葉を用いて説明してきた甲斐があった。

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ポンプをひっくり返し、式場がミルクだらけになるというプチトラブルもあったが、何とか家族全員で参加することができ、弟夫婦の結婚を祝うことができた。参加のために行ったシュウへの工夫は特になく、トラブルが起きても良いように、医療機器、ミルクの替え等、一式を車に積み込んでおいたくらいだ。いつもと違うフォーマルな場所でもシュウを連れて行くことが出来たという点で、また行動の幅が広がった感じがしている。

 

祖父と祖母から辱めに合うシュウ
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「アタイ、もうお嫁に行けない...。」

 

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教会での結婚式。

パリピの結婚式は天井の高さが違う。

 

一方そのころシュウは、、、

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膝の上で爆睡中。フォーマルな場なので髪型は73に。

 

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結婚おめでとう!末永くお幸せに!

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、キャンプ、子どもを追い回すこと。千葉県生まれ。
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