障害者と健常者の接点を探る

主夫による脳性麻痺の子供の話。ご意見ご感想頂けると大変嬉しいです。m.jigglerアットマークgmail.com

vs.夢の国

前回のエントリで規模の大きすぎるレジャー施設はファミリー層に向かない的な内容を書いておきながら、こともあろうに日本一有名といっても過言ではないレジャー施設に行ってしまった。

 

kikuo-tamura.hatenablog.com

 

 

いや、レジャー施設と言ったら語弊があるのかもしれない。あれは日本国内にある別の国、すなわち外国大使館と同じ位置づけだ。その名は夢の国「ディズニー」。この国ではkikuo法は全くと言ってよいほど効力を失う。ネズミたちを前に、父の持つ信念など木っ端みじんに砕け散ってしまうのである。

 

そもそもkikuo家の女の子チームはディズニーが大好きだ。日常生活の中で隙間を見つけては、ディズニー行かない?ディズニー行かない?とサクッと聞いてきたりする。イオンか何かと勘違いしているのだろうか。夢の国との国境を越えるのに、そんなに手軽なはずはない。入国するにはパスポート、別名:日本銀行券を大量に準備する必要があることを、そろそろ理解してもいいはずなのだか…?

 

kikuo家は夢の国まで比較的にアクセス良い立地にある。車だと1時間弱、電車だと乗り換えなしだ。思い立ったら行けてしまうという距離はまずい。自宅が国後島にでもあれば一蹴できるのだろうが、女の子チームのシュプレヒコールが過激さを増すと、ったくわかったよ!車だすよ!!とすぐ心が折れてしまう。

 

そんな父を尻目に、シュウはというとだんまりを決め込んでいる。助けを求めて目線を送るが、プイと目を逸らしてしまう。しかし分るぞ。シュウは俺の子だ。女性を立てた方が家庭が円満になるということを、その歳にして見抜いているんだよな?だけど本心は既婚男性諸君と同じ、サイレントマジョリティに決まっている。本当は休日くらい自宅でゆっくりしたいよな。な!なっ!!絶対そうに決まってる!!! 

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「 俺に振るなよ。。。」と言わんばかりの顔。

 

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多くのレジャー施設には「障害者割引」というものが存在する。障害者手帳を持っていれば入場料を半額にしますとか、駐車料金無料にしますとか、障害者を優遇しているところは多い。

この「障害者割引」について、

「健常者であれば受けられるはずのサービスの質を担保できませんよと宣言しているもんだよね」

と表現している人がいた。

なかなか尖った見方をする人だなあと当時は思ったが、シュウを連れて歩くことが多くなった今はあながち間違いではないのかもな、と思ったりする。まあ、でも通常サービスが10だとしたら、シュウを連れていることで受け取ることができるのは7.5くらいかなと感じるので、5割引きはお得感はあるのだが。

 

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ご存知の方も多いかと思うが、ディズニーランドには障害者割引というのものが存在しない。あくまで料金区分は年齢によ決定され、同じ年齢であれば、健常者も障害者も平等に扱う。その代わり両者に同等のサービスが提供されるようなシステム、配慮が存在していた。

 

例えばこれ。

 

ゲストアシスタンスカード。

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これを使うと、通常並ばなければならない時間を別のどこか、例えばカフェなどで過ごすことができる。さらにカード内には必要な配慮も書いてくださるため、キャストごとに一から説明する手間も省ける。レジャー施設に限らずだが、色々な場面で担当が変わるごとに一から説明を求めらることが本当に多い。その度に、いやまず情報を共有してから対応しろしとか、その一言が俺の貴重な時間すなわち人類全員に唯一平等に与えられている資産を搾取してるんだからなとか、その他放送禁止用語ピーピーみたいな言葉が口から飛び出していかないように、歯を食いしばり震えているのだ。担当が変わるとまた一から説明をしなければならない問題は、kikuoにとって人生の無駄時間ランキングのベスト3にランクインしている。だからこのカード一枚でそれが回避できるのだから、素晴らしいことこの上ない。さすが夢の国、カードさえも魔法がかけらているのである。

 

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このように必要な配慮内容(アシスタンス内容)が記入される。シュウの場合はミルクの持続注入なので、「ベビーカーのまま案内」という項目が記入された。

 

もちろんキャストのエスコートも素晴らしかった。アトラクションの内容を説明する時には、(おそらく)発達障害の方へのアトラクションに対する注意喚起が含まれていたのだが、その言い回しが絶妙で、自尊心が傷つかないように直接的な表現は避け、だけどわかる人には正確に、どのようなリスクが含まれているのかが伝わるような言葉を使っていた。この点は仕事においてとても参考になるものであった。

その他にも、パレードは前の方の優先スペースで見ることができるとか、駐車場がどんなに激混みでも必ず入り口近くの身障者用スペースに案内されるとか、ベビーセンターでなくても食事を提供している店ならどこでも無料でお湯を貰えるとか(これは乳幼児がいる世帯なら誰でも受けられるサービスだが)、そのような配慮があり、シュウのような子どもが楽しむには十分すぎるほどの環境であった。

 

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長女の土曜参加の振替休日で行ったのだが、夏休みばりに混雑していた。どうやら茨城県民の日と被ってらしい。みんな考えることは同じなのだなと実感した。

 

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推定500フィルパワーを誇るダウンのトラックスーツを着込み、ゴアテックス社製の化学繊維で包まれたシュウ。ほぼ埋もれているが、現在kikuo家で考えうる限り最大の防寒対策を施したため、帰宅後も体調を崩すことはなかった。

 

ほんの、ほーんの少ォォぉぉしだけど、またディズニーに行っていいかなと思った1日でした。

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士/非営利組織専門の広報戦略コンサルティング会社 JIGコンサルティング代表 https://www.jig-consulting.com/

2016年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、キャンプ、子どもを追い回すこと。千葉県生まれ。
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