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杉山くんと丸尾くんの街づくり

最近、僕が務める事務所の近くで面白いお店が増えてきた。

例えばここ。「abill coffee +」

matsudo.keizai.biz

店長の清水さんは二十代に表参道のお店で修行を積み、下北沢でcafeを開店。その後、子どもが産まれることをきっかけに地元に帰ってきたいと、今の場所にお店を構えた。

立地条件は正直悪い。駅からも離れているし、周囲にはドトールタリーズもある。コンビニやマックへ行けば100円でそこそこ美味しいコーヒーだって飲める時代、価格では勝負にならない。一人で切り盛りしているから、提供が早い訳でもない。でも、とっても賑わっているのだ。

コーヒーを飲みながら店内を観察していると、お客さまがお店を大事に思っているのが伝わってく。セルフサービスではないのだけど皆さんお皿を片付けていくし、帰り際「頑張ってくださいねー」「またきまーす」と声を掛けていく。店長も地域に根ざした気軽に入れるお店を目指していて、食べ物の持ち込み自由。イベントの開催にも、場所代を取っていない。気軽にふらっと、がテーマにある。そういう姿勢が評価されているのだろう。子どもが運動会だからお店を休みます、なんて告知しても誰も文句いう人はいない。お店とお客さま、きっちり線引きされない関係はいいなあと思う。

 

もう一つ。「FUJIKURA SPORTS」

fujikurasp.jimdo.com

創業70年の地元の運動具店。代替わりしたのをきっかけに、新しく生まれ変わろうとしている。自分でデザインしたものやリメイクした服を販売してみたり、夜な夜な遊べる場所を目指して、卓球台を入れ、ドリンク提供もできるようにキッチンを設置したりと、日々DIYで改装している。

松戸市は首都圏のベットタウンとして栄えた経緯がある。だから夜遊べる場所は少ない。藤倉店長も「松戸は都内でベロベロに酔って帰って来る場所」と表現していた。

藤倉さんは30代後半、友人には家庭を持つ人も多い。子どもを持つとなかなか遊びには行けない。だからこそ地元に自分の遊び場を作りたいといっていた。子ども連れでも若い時と同じように、遊べる場所を目指しているのだろう。

 

どちらの店長も結婚や跡継ぎという人生の節目をきっかけに、地元と自分の関係性を考え直している。親が定年を迎え、子どもたちは人生の節目を迎える。30代はそんな時期なのかもしれな。いずれにせよこういったタイプのお店は、今後も増えていくんじゃないかと、密かに期待している。面白いまちづくりが始まりつつある。

 

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他方、従来のまちづくりは、行政、社会福祉協議会などの公セクターが担当してきた。ボランティア活動の推進、地域特有の課題を課題を解決するために活動する市民グループのサポート、まちづくりイベントの開催などをしている市民活動サポートセンターという機関も整備されている。

www.matsudo-sc.com

 

前者はプライベートで、後者は仕事で関わることが多いのだけど、気付いたことがある。出入りしている人のタイプが全く違うのだ。リタイアした高齢者、若者、という世代的な違いではない。パーソナリティ的な違いである。

ちびまる子ちゃんで例えるなら、abill coffee +やFUJIKURA SPORTSに出入りしているのは杉山くんタイプ。

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杉山くん。サッカーが得意

 

自分が楽しいと思うことが行動する理由のトップにあり、これ超おもしろいよ、一緒にやらない?と、インサイドアウト的な考え方をする。理論や方法論よりも、まずはやってみるという感じで、良いまちを作ろう!ではなく、自分達の行ったことが「結果的に」良いまちづくりに繋がっている。そんなイメージだ。

 

一方で市民活動サポートセンターに出入りする人は丸尾くんタイプ。

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丸尾くん。好きな食べ物はびわ、ざるそば、天ぷら

 

地域にこういう資源が足りないから新しく作ろうとか、ここに困っている人がいるから手を差し伸べようとか、アウトサイドイン的な考え方をする。理論や方法論をまず勉強し、それを基に行動。「良いまちとはこういう形」というのがまずあって、それに向けて邁進するイメージだ。

 

本エントリは、どちらが良いとか悪いとか言いたいわけではない。

杉山くんには、自分が楽しいからって他が楽しいと感じるわけじゃないよと忠告できるだろうし、丸尾くんには理念ばっかりじゃなくてまず現場で身体を動かそうよとアドバイスが必要だろう。どちらにもいい点、悪い点がある。

僕がしたいのは提案だ。

杉山くんと丸尾くんが手を組んだら面白いよ!と伝えたいのである。

 

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公セクターと地元のお店、全く違う立場だと思われがちだけど、「まちづくりの担い手」として定義しなおすと、新たな繋がりが見えてくる。そしてその繋がりこそ、お互いが抱える課題解決のカギになるのではないかと感じているのだ。

 

例えば零細企業は、大手からどうシェアを奪うかという課題がある。資金は豊富にないから、新規顧客獲得のためバシバシ広告を打つこともできない。そんな時は暇な時間帯を、会議スペースとして市民活動グループに貸し出すというのはどうだろう。そうすることによって、普段お店に来ないような人たちが、足を運ぶきっかけにならないだろうか。公共施設での会議スペースの貸し出しはよく見かけるが、そもそも一般住民にとって市役所や公民館って身近な存在ではない。結婚とか出産とか、何かイベントがないと足が向かない場所だ。だからこそ身近にあるお店でやる意義が大きいし、お店に取っても新規顧客獲得のため、まずお店に来てもらう、というハードルもクリアできそうだ。

 

他方で公セクター側は、まちづくりのイベントに店主を呼んで、地元に対する思いを語ってもらうのはどうだろう。

公セクターのイベントというのは、その関係者しか集まらないことが多い。当然まちづくりアンテナの感度が抜群な人ってまだまだ少数なので、シェアが広がらない。よって啓発活動として効果が少ない。そんなケースって多いはずだ。だけど「地元での商い」を「まちづくり」として解釈しなおせば、すそ野は必ず広がる。新たなうねりも生まれるだろう。

 

このように、普段関わらない人たちが繋がることによって、良い効果が生まれる可能性が大いにある。

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311の震災を境に、多くの人が「一人では生きていけない、地域で助け合わなけばならない」と気付きはじめた。ボランティアや救援物資の数、寄付金額を見れば、それは明らかだろう。

また、昨今見られる地産地消の動き、NPOの増加、マイルドヤンキーの増加などの背景には「共助」の考え方がある気がしてならない。

だけどまだ、個人でも公共機関でさえも、手探り状態であるように思う。それぞれのグループでは動き始めているけどバラバラで、有機的に繋がっていはいない、そんな状態だ。まじめにふまじめではないけれど、フラフラと両者を行き来するコーディネーターが求められているのだろう。

結果的に良いまちを作っている杉山くん。意識的に良いまちを作っている丸尾くん。そういう人が繋がっていけば、もっと素敵な地元になるんだけどなあ。今度2人になんか提案してみよっと。

 

ちなみに僕は野口さん的な立場だと自負している。

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野口さん。好きな食べ物は魚卵。

 

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

社会福祉法人 松の実会 評議員 / NPO法人 こども子育て・発達支援研究会 監事

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、子どもを追い回すこと。1985年千葉県生まれ。
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【m.jiggler@gmail.com】