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【書評】わたしたちのトビアス

障害者がでてくる本の書評

絵本は幾十にも重なりあい分かり辛くなっている物事の本質を抽出し、子どもにも分かる平易な言葉を使って表現しているという特徴がある。
だから障害理解や差別の原因などとっても取っ付きにくい問題を理解するのには、難しい理由をあれこれ考えて、様々な要因を掘り出そうとしてしまう大人にとってもうってつけの媒体なのではないかー。そんな仮説があって一時期絵本をよく読んでいた。

 

 

わたしたちのトビアス (障害者を理解する本)

わたしたちのトビアス (障害者を理解する本)

 

 

この本はダウン症で産まれてきたトビアスとその家族の実話なのだけど、トビアスを普通の弟としてお家に迎え入れているきょうだいたちの姿がジーンとくる。

当時まだシュウは産まれてなくて、自分が障害児を育てるなんて微塵も思っていなかったのだけど、お姉ちゃんたちが大きくなったら、障害を持つ子に対してもトビアスのきょうだいと同じようにフラットに接することができる子に育って欲しいなあと思ったのを覚えている。

 

以前のエントリにも書いたけど、障害に対して心理的な壁ができてしまうのは肌感覚での無知が根本にある。障害というものを直に体験していないから、社会的なイメージに振り回されて拒否感が生まれる。それは多分同じ家の中で生活しているきょうだいたちでさえも同じで、親の態度の如何によって壁ができてしまう可能性も大いにある。現場で様々な家族模様を見ていると強くそう感じる。

 

だからうちではお姉ちゃんたちに対して、シュウの体調のこと、予後のことを、正直に話すようにしている。もちろん語彙力も理解力も差があるから、彼女たちが理解できるような言葉を選んだり、絵をかいたり、図鑑を持ち出したりして試行錯誤する。その関係性は親と子というよりも、同じ家族の一構成員同士といった感じで、とてもフラットだ。

その甲斐あってか、弟に対してお姉ちゃんぶりをいかんなく発揮している。ケアのお手伝いも積極的で、まさに子どもナースといった感じ。親がリスクばかり気にして、シュウをなかなか外へ連れていけないことに対しても、「いつも窓から外見てるだけじゃかわいそうじゃん!」と言い放つ。

一方で、普通の赤ちゃんじゃないということも、理解しているのか「シュウちゃんカゼなら良かったのにね」とぼそっと呟いていた時もあった。

 

こんなこともあった。

「シュウちゃん話せるようになるの?」

と質問された。

難しいなぁ、と正直に答えると、

「でも顔見てれば嬉しいとか悲しいとか、シュウちゃんの気持ちわかるよ」

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ビアスのご両親もこんな気持ちだったんだろうな。

 

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そんな訳で、いまシュウは入院している。

 

子どもナースが、鼻から十二指腸まで入っているチューブをズズズーと引っ張ったのだ。風呂上がりで濡れていたチューブ固定用のテープを、交換するつもりだったらしい。目を離したすきに処置は行われ、僕が戻った時に、子どもナースは満足そうな顔をして報告してくれた。シュウは、マジかよ、、と顔で訴えていた。

 

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病院内では大人ナースしかいないのでゆっくり眠ることができるシュウ。

 

早く戻ってこれるといいね。

 

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

社会福祉法人 松の実会 評議員 / NPO法人 こども子育て・発達支援研究会 監事

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、子どもを追い回すこと。1985年千葉県生まれ。
ご意見、ご連絡はお気軽に下さい。とても励みになります。
【m.jiggler@gmail.com】