障害者と健常者の接点を探る

主夫による脳性麻痺の子供の話。ご意見ご感想頂けると大変嬉しいです。m.jigglerアットマークgmail.com

医療的ケア児を育てる家族が気軽に集まれるカフェのようなwebサイトを作る!

前々からお話ししていた

「医療的ケア児を抱える家族が気軽に集まれるカフェをネット上につくる」

という構想について、企画書を作成しました。

いつもこのブログを気にかけて下さる皆様にフィードバックをいただきたく、

エントリします。

ご意見いただければ幸いです。

特に、批判、ダメ出しをください。

 

企画名【医療的ケア児を抱える家族が気軽に集まれるカフェのようなwebサイトを作る】 

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情報の伝達が人の移動と共に行われていた時代、情報も、人も、カフェに集まっていたという。新聞や雑誌がカフェに集まり、それを読みに来る人がいる。その情報を基に、政策論争をしたり、別のテーブルでは誰かが持ってきた面白話で盛り上がったりする。もちろん、日常を少しだけ離れた「ほっ」を求めて、コーヒーを飲みに来る人もいる。医療的ケア児を抱える家族に対して、このような場所をネット上に作ろうというのが、今回の主旨です。

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現状

医療的ケア児を抱える家族は情報を取るにとても労力がかかります。

赤ちゃんに障害があると説明をうけると、グーグルでその疾患名を検索する。そもそもNICUと一般病棟の違いもわからないから、そこでまた検索。SpO2?HR?EDチューブ?一つ一つ検索し、情報を集め、その情報を基に、必死になって現状把握に努めている。一般病棟に移り、在宅へという話がでるとまた一から検索してく。訪問看護?往診?そもそもどうやって暮らしていくんだ?かかるお金や福祉制度はどうなっているんだろう。病院の先生や相談員は在宅生活についてあまりよく分かっていないし、どうすればいいんだろう。。。それぞれの情報が分断されているため、医療的ケア児を包括的に把握するには、とても労力がかかるのです。

 

また、医療的ケア児を育てていると、時間の使い方や物理的な移動が制限されます。

命に直結するケアが最優先になりますから、自分の時間がほとんど持てません。ママ友とランチに行ったり、お洒落をして子どもと買い物に行ったり、子どものお昼寝の時間を使って趣味に充てたりなど、人生を豊かにする「楽しみ」の部分が極端に制限されているのです。

また、子どもが動くということは、吸引機、ミルクポンプ、サチレーションモニター、呼吸器などの医療機器も一緒に動くということですから、どんなに体調がよくても気軽に外出はできません。ちょっとコンビニまで、なんて考えられない状況なのです。

 

このように、何をするにも労力がかかり、かつ自宅にこもりがちになってしまう現実があるのです。

 

カフェのようなwebサイトを作成

この課題を解決するため、冒頭説明したようなカフェ機能、つまり①新聞や雑誌が集まり、②面白話ができて、③コーヒーを飲んでほっとするwebサイトを作成します。もちろんすべて「医療的ケア」という括りの中での話です。

 

①新聞や雑誌とは

これは主に、子どもと一緒に生活していくうえで必要な基本的な知識です。病気のこと、障害のこと、福祉、医療制度のことなど、バラバラになっている情報を、医療的ケアという括りでまとめて、横断的に取れるようにします。先輩ママたちの経験を生かして、出産、NICU、一般病棟、在宅生活を移行してきた中で、これは重要だった、という情報を主に選びます。情報社会において、情報を評価するにも情報が必要です。その評価を、経験という情報を基に先輩ママたちが行っていたら、とても心強いと思いませんか。

これからも増え続ける医ケア家族が、子どもを育て、一緒に生活するうえで役立てて欲しいです。

 

②面白話とは

在宅生活していくうえ起きた、失敗談、外出日記、パパしっかりせい!などの話を集めたいなと思っています。医ケアあるあるなんてのも面白いかもしれませんし、ママたちがああでもないこうでもないと言いながら、医療機器をレビューする動画というのも面白そうです。一日の終わりに気軽に読めて、ちょっと気分が明るくなるような物をイメージしています。

 

③コーヒーを飲んでほっとするとは

webサイトですから、直接コーヒーをお出しするわけではありません。丁寧にコーヒーを淹れ飲んだ時の、「ほっ」とする感情が産まれる文章をお届けしたいなと思うのです。例えば、

「わたしの赤ちゃん」→最高に可愛い写真と共に、名前の由来を届ける

「あの頃のわたし」→在宅生活をしているママパパたちが、出産当時を振り返る

「こどもたち」→時には危ないけど、でもとっても頼りになるきょうだいと医療的ケア児関りについての話

など。

 

①については、異論がないと思われますが、僕のなかでは実は②,③がとても重要であったりします。それを説明するのにコーヒー理論というものがあります。

 

コーヒー理論とは?

僕はコーヒー豆をミルでガリガリ挽いて飲むことが多いのですが、先日こんなことがありました。

いつものようにガリガリやってコーヒーを淹ようとしたのですが、急な予定の変更があり、超スピードでガリって急いでコーヒーを淹れ飲んだのです。そのコーヒーときたら、えらく不味いものでした。豆はいつもと同じものです。なぜ不味く感じたのでしょうか。

ここから言えることは、僕にとってコーヒーを飲むという行為で大切なのは、前後の過程なのだということです。時間をかけて一杯づつ淹れる、飲みながらボケーっとする。コーヒーを胃袋に入れるというよりも、そちらに価値を置いて、満足感を得ているのだなと気付きました。これがコーヒー理論です。

 

医療的ケア児を育てる家族を例えるなら、インスタントコーヒーしか飲めないようなものだと思います。コーヒーを飲むという目的は達成できるけど、それまでの過程がインスタントしか用意されていないのです。

本来であれば、自分で豆を挽き飲むこともできるし、素敵なカフェで飲むこともできます。だけど医ケア児を育てていると様々な制限により、それができない。胃袋にコーヒーを入れるという目的は達成できるのだけど、満足感を感じることができる前後の過程が抜け落ちてしまっているのです。これじゃあストレスが溜まっていく一方ですよね。パパママが健康でなければ、子どもたちを育てていくことはできません。だから、②、③のようなものを提供したいのです。

 

利用者としての価値

webサイトを利用すると、どのような価値があるのか、考えます。

 

・家族が集まる

僕の知る限り、医療的ケア児の情報が包括的にまとまっているwebサイトは存在しません。ここに来れば、全国にいるであろう同じような境遇にいる家族の想いや、生活を知ることができるようになります。

 

・医療的ケア児の認知向上

医療、福祉、子どものことだけでなく、家族のリアルな生活に焦点を当てたものですから、医ケア児問題の新しい切り口、新しい伝え方になるのではないかと思います。

非日常の中にも日常はあるのです。

 

・ママに力を

在宅で生活を送り、日々奮闘している家族。特に日中ケアを担当しているママたちは本当に頼もしいです。吸引して、モニターや呼吸器も管理して、まるで専属ナース。子どもたちは病院よりも手厚いケアを受けています。

ママたちの背中は、必ず誰かの力になります。自分の当たり前が、実はとても専門的なものだということに気づいて欲しいし、伝えていきたいのです。

 

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以上です。

開始時期はH29年4月。

 

必要か不必要か、それだけでも結構です。

皆様のご意見をいただければ幸いです。

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士/非営利組織専門の広報戦略コンサルティング会社 JIGコンサルティング代表 https://www.jig-consulting.com/

2016年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、キャンプ、子どもを追い回すこと。千葉県生まれ。
ご意見、ご質問など、メールをいただけると、とても嬉しいです。
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