子どもと親、双方向のコミュニケーション

外出トレーニングを始めて一ヶ月弱、

ちょっとした買い物であれば、シュウも連れて外へ出れるようになった。

 

庭に出ることから始め、次に看護師さん同伴で近所を散歩、

10分が20分、30分になり、お姉ちゃんたちも連れて行き、と段階を踏んで、

今は1時間くらいなら難なく楽しめる。

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シュウの体調を考えると段階を踏むことは当然なんだけど、

その効用は親にも発揮してくれた。

体調の急変リスクはもちろんのこと、

シュウが動くということは医療機器も一緒に動くということなので、

荷物も満載になる。

そういった精神的な負荷も少しづつ増やしていけたので、徐々にではあるけど確実に、

耐性ができていったのだと思う。

この辺は筋トレと同じだ。

筋肉の増加させるには、筋肉の破壊と修復を繰り返さなければならないが、

破壊、といっても動けなくなるほどのトレーニングは必要なく、

筋肉痛が少し残る程度が望ましい。

高負荷のトレーニングは休息を多く必要とするため、

破壊と修復のサイクルを回すことができないからだ。

だから少しの破壊と修復がとても大事になる。

そしてある程度の期間を経て振り返ると、

「あれ、筋肉ついたかも」と認識できるようになる。

シュウも僕も、今そんな状態なのかな。

 

外へ連れていくことで気づいた、嬉しい誤算もあった。

シュウは抱っこされていると、痰、鼻水が極端に少なくなるのだ。

布団の上にいると常時ズズズーと吸っているので、

1時間も吸引器のスイッチを入れないなんて考えられない。

もちろん、もしものために持ち歩くのだけど、

それを使うと使わないでは、精神的にくるガックリ感は雲泥の差がある。

 

抱っこすると分泌物が少なくなるという話を先生にすると、

安心するんだろうね、と返ってきた。

先生なのに非科学的な話をするんだなーと思ったが、

聞けばこの傾向は医ケア児に共通しているらしい。

緊張と分泌物の量は相関にあり、緊張が少なくなる(安心する)と分泌物は少なくなるという。

 

この事実はとても重要なことを示唆しているように思う。

今までは、シュウの気持ちを「想像して」あれやこれやと育ててきた。

泣くことはないし、反応は期待できないしで、

いわば一方的なコミュニケーションであった。

相手のいないキャッチボールは結構辛い。

 

それが今、シュウはグローブに手を入れて、コロコロとボールを返そうとしている。

ボールに勢いはないし、

今後バッターボックスに立つことは難しいかもしれないが、

コミュニケーションが双方向になるということは、関係性が生まれるということ。

それを通して、社会的な位置付けが決まるということだ。

「シュウ」という個人だけだった存在が、

kikuoのせがれの「シュウ」となり、

tamura家の長男の「シュウ」となって、

Aさん宅のお隣に住む「シュウ」と、

その関係性は徐々に広がり、それに応じて

社会的な位置付けが明確になっていく可能性を秘めている。

 

抱っこするとシュウは「親、ナイス!」と感じていることがわかった。

 

シュウにも社会にも、やっと親だと認められた気がして、なんとも嬉しいじゃないか!

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

社会福祉法人 松の実会 評議員 / NPO法人 こども子育て・発達支援研究会 監事

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、子どもを追い回すこと。1985年千葉県生まれ。
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【m.jiggler@gmail.com】