2025年、行き先のない障害者

「父が倒れて重度の障害がある弟が自宅での生活が困難になってしまった。どうすれば良いのか。助けてほしい。」

 

遠方にいる兄から、相談が入りました。

 

70代の父、70代の母、重度障害のある30代後半の弟の3人で住んでいました。母はパーキンソン病を患っていたので、弟の介護その全てを父が行っていました。

 

弟の障害の程度は、3歳児程度の思考および自立度で、サポートなしではとても一人で暮らしてはいけません。兄も遠方で家庭を持っており、受け入れは困難とのこと。緊急性が高いと判断し、県内にある障害者の入所施設を探し回り、ショートステイという形で1か月先の住む場所までは確保しました。

 

しかし、入所契約となるとどの施設も満床で(入所施設は必ず入所枠とショートステイ枠を持っている)、この先数ヶ月、ショートステイ枠を使い、県内の、なければ他県の入所施設を転々とする生活が彼を待っています。

 

早く終の住処を見つけてあげられればいいのですが、不足する社会資源を考えると、そう簡単にはいきません。彼を守るためには、全国まで手を広げ、全く地縁のない土地で生活するということも選択肢に入れなければならないことを考えると、他に選択肢がなかったのかと心が痛みます。

 

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2003年まで、障害福祉サービスは措置制度と呼ばれ、自分たちで自由にサービスを選ぶことができず、行政に行く先やその内容までもが半ば強制的に決められていきました(現在は使いたいサービスも事業所も、各々の契約で利用できる)。

 

この措置制度を経験している親は、自分たちの逝った後のことを真剣に考えて動いている人が多いとは言えないなと感じています。年代でいうと60代以上の人たち。最後は行政がどうにかするでしょと悠長に構えている節があります。今回の例がその最もたる例で、最終的にしわ寄せが来るのは、残される障害のある子どもです。親がいなくなったら友達も知り合いもいない、全く知らない土地へ飛ばされるなんて、これじゃ、何のために一生懸命子どもを育てサポートしてきたのか、よく分かりません。言葉は悪いですが、子育てに関して無責任だと感じてしまいます。

 

子を思うなら早い時期から様々なサービスを使い、どういう生活環境であれば自立できるのか見極め、手を打つべきです。辛いかもしれませんが、親離れ子離れを進めるべきです。計画的に数年単位で動けば、必ず安心して死ぬことができる環境が整うんですけどね。悠長な親に対して、どう関われば心を揺さぶることができるのか、答えは出ません。

 

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60代といえば、団塊の世代と被ります。2025年問題はよく話題にのぼりますが、それに紐付けされるように、障害福祉の世界でも彼のような行き先のない障害者が今後急増するのではないか、そんなことを今から心配しています。今後どうなるんですかね、ほんと。

 

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

社会福祉法人 松の実会 評議員 / NPO法人 こども子育て・発達支援研究会 監事

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、子どもを追い回すこと。1985年千葉県生まれ。
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