障害者と健常者の接点を探る

主夫による脳性麻痺の子供の話。ご意見ご感想頂けると大変嬉しいです。m.jigglerアットマークgmail.com

医療的ケアを必要とする子どもを持つ親が抱える不安を解消する方法について

人はなぜ不安になるのか。

 

それは見通しが立たないからです。

 

例えば子育て。第一子は初めて尽くしで、子供の一挙手一投足が心配の種になるというのは子どもを持つ親であれば誰もが理解するところでしょう。昨日よりミルクの飲みが悪いんだけど体調が悪いのかなとか、床に落ちたもの食べたんだけどお腹壊さないかなとか、振り返れば笑い話なんだけれども、当時は初めての育児という、見通しが立たない状況にいるので、些細なことでも不安になってしまいます。でも第二子となるとその不安の大部分は解消しています。一度育児を経験しているため、成長や起こるであろうトラブルについても対処可能です。少々熱が出たって驚きはしません。見通しが立つと具体的な行動へ移すことができ、不安が解消されるのです。

 

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さて、僕は今、医療的ケアが必要な子(以降、医ケアの子)を抱える親が持つ不安をどうすれば軽減することができるのかを考えています。たどり着いた答えが生活に見通しを立たせること、つまり情報へのアクセシビリティ向上です。

 

医ケアの子はその特性から、自宅で生活していくための情報を集めることが困難な状況になっているように思います。以下、その理由を簡単に述べてみます。

 

 

障害福祉サービスの分かりづらさ

 

自分が福祉系の仕事をしていてこういうのも何なんですが、障害福祉サービスの制度って本当に分かり辛いです。障害者手帳の有無と障害福祉サービス導入の有無は基本的に別物だし、管轄する自治体も違う(手帳は県、サービスは市町村で管轄)。それらを専門用語をバシバシ使って説明するので、分かりづらさに拍車をかけます。難しい言葉を使って自己陶酔に浸りたいのかと思ってしまうほどです。

 

 

②パイが少ないため、生活、育児などの情報が身近にない

 

そもそも障害児育児についてでさえパイが少ないのに、医療的ケアとなると更にニッチです。ということは、普通の育児のような、例えば保育所、幼稚園のママ友同士で行われるの情報共有が行われないということです。さらに、ケアの負担から、支えていく親に時間的な余裕もないため、生の情報を集めるための物理的な行動に大幅な制約がかかります。だからこそ、それら情報を集めるためにブログが活用されているのでなないでしょうか。

 

 

③関係機関が多く、情報を集めようにも多岐にわたる 

 

同じように、在宅で医ケアを受ける子ども高齢者で決定的に違う点は、子どもは成長するという点です。つまり、高齢者であれば「医療」との関わりだけ良かったものが、子どもの場合、「医療」の他に「福祉」「教育」という機関も関わってくるということです。それぞれが違う法律で成り立ち、当然行政内での主管課も違ってきます。これら3つの立場がタッグを組んで子どもやそのご家族を支えていかなければならないのに、その音頭をとる役割の方も少ないのが現状で、それぞれが情報を出していて、それぞれに情報を拾いにいかなければなりません。カレーを作る時に、玉ねぎはダイエーで、ジャガイモはイオンで、人参は道の駅で、肉は近所の精肉屋で、と買う場所を指定されているようなものです。

(高齢者でいうケアマネ的な立場の人もいますが、報酬的な後ろ盾がなく音頭をとるインセンティブが働かない。詳細は割愛します)

 

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以上、3つを解消できるようなシステムがあれば、医ケアの子を支える親の不安は少しでも解消するのではないか。つまり、医ケアに特化したポータルサイトが作れないかなと考えています。ざっと調べた限り、そういったウェブサイトは日本に存在しません。しかし、ニーズは確実に存在しているように思うのですが皆様いかがでしょうか。ポータルサイトの必要性について、ご意見お聞かせいただければ嬉しいです。

 

 

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士/非営利組織専門の広報戦略コンサルティング会社 JIGコンサルティング代表 https://www.jig-consulting.com/

2016年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、キャンプ、子どもを追い回すこと。千葉県生まれ。
ご意見、ご質問など、メールをいただけると、とても嬉しいです。
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