子ども食堂では相対的貧困率の改善は望めないと思うんだけど、皆さんはどう思いますか。

社会運動のトレンドになりつつある子ども食堂。H28年5月現在、全国に300か所を超え、今後も更に増える見通しだという。子どもの貧困に手を差し伸べる活動として注目されてますが、果たしてここでいう貧困て何を指しているのか、記事を書いた人や食堂を運営している人はその点をどう捉えてるのか、ニュースを見ながら考えています。

 

style.nikkei.com

記事によると、「子ども食堂とは経済的に厳しかったり、ひとり親で食事の支度がままならなかったりと、様々な事情を抱えた子供らに無料や低価格で食事を提供する場所」とあり、その活動理念は素直に素晴らしいなと思ったりする。しかし良く読んでみると、ちょっと違和感を覚える。それは、月2回程度の夕食の提供で、こどもの貧困率って改善する?というのものだ。

 

結論からいうと、この活動では直接的に相対的貧困率の改善には繋がらないと断言できる。月2回の食費が軽減できたからって改善するわけない。

 

だけども、この活動が意味のないものかというとそうじゃない。これが冒頭に書いた、貧困をどう捉えているのか、という疑問につながります。

 

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■貧困て何だ?

 

突然ですが、みなさんの働く理由は何ですか?

 

お金を稼ぐため?生活するため?それぞれ理由はあると思いますが、社会的集団に属して人と繋がるため、という理由があることを忘れてはいけません。人は社会的な生き物ですから、誰かと繋がっていないと中々生きていけないように思います。ストレスがあっても誰かに愚痴を吐いたりして、何とか乗り切ったなんてこと皆さんも経験されているはずです。友人から何か有益な情報を得て、自分の行動が変わったなんてこともあるでしょう。働くというのは社会的集団に属すると同義ではありませんが、被る部分は大きいと思うのです。

ちょっと話は逸れますが、社会的集団に属して人と繋がるため、という視点があると、「産後うつ」なんて問題もその背景が理解できるように思います。

 

仕事柄、生活保護受給者と関わることが多くあります。彼らは本当に孤独です。なぜなら働いていないから。つまり、言葉は悪いですが、何もせずにお金が入ってくるため、強制的に社会との接点を持つ仕組みの中にいないんですね。愚痴を吐いたりする仲間もできないし有益な情報も入りづらい。更に金銭的な制約もあり、自立につながる能動的な行動を取ることも難しい。まさに負の連鎖です。生活保護の脱却率が極めて低いという問題の背景には、こういった側面もあるのです。この点も理解しなければ、問題の根本的な解決は難しいように思うのです。

 

で、ここから見えてくることは、貧困と一言で言っても少なくとも2種類あるということです。

 

1つ目は経済的な貧困、2つ目がリソースの貧困です。

 

1、経済的な貧困

これは当然お金の問題。貧困と聞けばこちらをイメージする人がほとんどではないでしょうか。

相対的貧困と書きましたが、これは所得を基準にしているため、経済的な貧困の目安に役立ちます。子ども食堂関連のニュースを見ても大体が厚生労働省相対的貧困率を持ち出してきて、子ども食堂の意義を伝えようとします。故に、世間一般では、子ども食堂の活動は相対的貧困率の改善を目指している活動だと解釈しているのだろうと想像します。しかしこれは、冷静に考えれば意味のないことだとわかるでしょう。

 

参考 厚生労働省 国民生活基礎調査

www.mhlw.go.jp

 

 

2、リソースの貧困について

これは数値可が難しく、実際にこのようなデータを見たことがないので、社会的になかなか理解されないかもしれません。しかし生活保護受給者の生活様式からわかるように、はっきりとリソースの貧困は存在します。ちなみにここでいうリソースとは、金銭的な資源だけではなく、人や情報を含んだ包括的なものとお考えください。

 

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子ども食堂の活動は、このリソースの貧困に寄与するのではないかと考えられます。

親の所得状況は必ず子どもに影響を与えますから、それに紐づけされるように子どものリソースも不足していきます。

記事には子どもの様子が書かれていませんでしたが、記事内にある「育児の悩みを相談するなど親同士の交流の場にもなっているという」という部分がこの活動の本質であるように思うのです。そう考えたら別に食事の提供でなくたっていいわけですよね。「食事の提供」ていうのは「交流する場所」に来てもらうための、販促活動みたいなものですから。

 

運営されている皆さんがどう考えているのでしょうか。伺ってみたいところです。

仮にリソースの貧困を意識することなくこの活動を続けていたとしたら、なんだかもったいないな。せかっくの善意が、無駄とは言わないまでも効果的に発揮されないわけですから。そんなことを記事を読みながら思ったのでした。

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

社会福祉法人 松の実会 評議員 / NPO法人 こども子育て・発達支援研究会 監事

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、子どもを追い回すこと。1985年千葉県生まれ。
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【m.jiggler@gmail.com】