自殺をしてしまう人の行動パターンからみる一考察

某市の自殺対策推進協議会の委員に任命されている関係で、次の会議で実践報告をして頂きたいとの依頼を受けました。そんな訳でここ数日は時間があると内閣府が出している自殺対策白書を眺めています。

自分の経験とデータを照らし合わせて少し気付きがありましたので、エントリしたいと思います。

 

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社会福祉士という仕事柄、社会的に自殺リスクが高い分類される、生活困窮者や障害者と関わることが多いです。死にたくなるような抑うつ気分だと訴える方もいるし、実際にリストカットやオバードーズ(薬の大量服薬)などで未遂を図ったりする方もいます。マンションから飛び降りて一命は取り止めたものの、脊髄損傷により両下肢が完全に動かくなった方もいました。ある機関から相談を受け初回訪問した際、天井から首吊り用のロープがぶら下がっていたのを見た時は、自殺を完遂してしまうという方は、連続する日常の中である意味普通に行ってしまうのだなと、寒気がしたものでした。

 

そういった方々と関わっていると、ある共通点に気が付きました。

それは「寂しさを抱えている」ということ。

人間関係が希薄で孤立している方が多いし、一見支えてくれる人が多く見えるが、自分は見捨てられてしまうのではないかという常に不安を抱え、周囲から与えられるものだけでは寂しさを埋められない方も多い。「寂しさを抱える」といっても表出される行動は様々ですが、実際に行為に及んでしまう人の行動を観察していると概ね2パターンあるように思いました。

 

1つめが、傷つくことを避けるため、他者を拒む。

2つめが、寂しさを埋めるように具体的で濃密な関係を追い求める。

 

こういった行動特性を持つ方を救うには、社会(公機関)は何をすればよいのでしょうか。

 

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内閣府は同白書の中で社会で自殺を防ぐ取り組みとして、14項目挙げています。

どれもその内容はごもっともで、批判はありません。ですが、では実際に効果的な取り組みとなっているのかというと疑問が残るものもあります。

 

僕が観察した上記の行動パターンの1つめ、【傷つくことを避けるため、他者を拒む】に分類される方に対して、社会(公機関)が直接的に関わることは極めて難しいでしょう。自らメッセージを発しない人に対してはアプローチのしようがありません。取り組み内にあるような、ネットのフィルタリングであったり、危険場所の規制であったり、支援者支援であったりと、おのずと間接的な関りとなってしまいます。

 

では2つめ【寂しさを埋めるように具体的で濃密な関係を追い求める】はどうでしょうか。こちらの方々は自ら発信するため、直接的な関りが可能です。故に、その関り方によっては救える方が更に増える可能性があります。同取り組みの1つ目のよりそいホットラインは特にそうで、24時間365日電話受付とはなかなか画期的なようにも思えます。ですが、この電話窓口だけで足りるのか疑問が残るところです。

 

調べてみました。

私が住んでいる千葉県内で24時間365日電話受け付けている機関は、1機関のみ。(千葉いのちの電話)これに全国電展開しているよりそいホットラインを加えると、2か所になります。
その他、平日の日中は相談内容別に、様々な機関が相談を受け付けています。その数約90前後。(途中で嫌になって、正確に数えるのをやめてしまいました。。
市レベルで数えると更に増えるのは明白です。
 
で、平日の日中と夜間帯や休日における自殺者数を比較し、これだけの差があれば何も問題ないのですが、そうなっていないので、本当にやる気あるのかなーと思ってしまいます。
 
こちらのグラフは、平成21年度における曜日別の一日平均自殺者数です。
平成23年度版自殺対策白書より

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平日の方が多いものの、土日祝日年末年始と比較し、相談機関の比率ほど差はありません。(余談ですが月曜日に多くて土曜日に少ないって何か理解できますよね。そういった意味で、自殺してしまう人も何ら特別ではない普通の人なんだなとしみじみしてしまいます。

 

そしてこちらは時間帯別の構成比です。(同白書より

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こちらも日中(8時-17時)と夜間帯(17時-翌9時)を比較し、相談機関の比率ほど差はありません。

 

さらに言うと、職業別の分類を見ると、自殺者の4割以上が働いています。

そんな訳で、平日日中はとてもたくさんの相談機関が受け付けているのだから、その内の何割かは平日日中を取りやめて、夜間や、休日に対応するということをするだけでも【寂しさを埋めるように具体的で濃密な関係を追い求める】行動特性のある方に対して、とても効果が期待できると思うのですがいかがでしょうか。これをしないのは何か理由があるのですかね。何か知っている方いらっしゃいましたら教えて下さい。

 

 

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

社会福祉法人 松の実会 評議員 / NPO法人 こども子育て・発達支援研究会 監事

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、子どもを追い回すこと。1985年千葉県生まれ。
ご意見、ご連絡はお気軽に下さい。とても励みになります。
【m.jiggler@gmail.com】