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障害者理解はなぜ進まないのか、その本質的な原因を考える。

 

結論から言うと原因は「肌で感じたことがない」人が多数派を占めていることだと考えています。

 

 

暗闇の中を一歩踏み出さなければならない時、つまり視覚情報が遮断され周囲の状況が分からないまま歩き出さなければならない時、多くの人は恐怖を感じるでのではないでしょうか。

 

なぜなら人間は知らないもの、分からないものに対して恐怖を抱く傾向にあるからです。

 

ではその無知を改善すれば恐怖を感じないかというとそうではありません。

 

誰でも暗闇が存在していることは「知っています」。

だけど知ってるだけでは恐怖は生まれません。知り、その状況下でいざ行動を起こさなければならない時に恐怖(物理的障壁や心理的障壁)が生まれてくるのではと思うのです。

 

 

障害者のおかれている状況はこれとよく似ています。

 

・障害者のことは知っているが、関わったことがない

   ↓

・関わることに対する漠然とした恐怖感(抵抗感)

   ↓

・関わらないようにする。

 

こういった図式が成り立っているように思います。

 

更に言うと、

 

・関わらないようにする。

   ↓

・障害者に対し、肌で感じた「実態」がないからメディア情報に流される。

   ↓

・偏見を生む。

 

といった悪循環に陥っているように思うのです。

 

この図式は、日本の社会システムそのもの課題でもあります。

 

例えば、先天的な知的障害発達障害の場合、3歳児検診で発見される場合が多いのですが、発見された場合、「子ども発達センター」に相談をし、障害福祉サービスである「児童発達支援事業所」へ通う方が多くなります。保育所へ通わせ、保育所へ支援員を派遣する「保育所等訪問支援」という障害福祉サービスもありますが、その数は充分ではありません。

 

健常児であれば保育所or幼稚園へ通所という道になりますから、そこでまず障害者と健常者の道が分かれます。

 

その後、小学校入学時期になると障害を持った児童と親は「特別支援学校」or「普通学校内にある特別支援級」という選択に迫られます。

 

僕の住む市を調べてみました。

 

市立小学校+私立小学校=46か所あるのに対し、

特別支援学校は3か所。

 

市内に3か所しかないのであれば、そこへ通うことになった場合、地域の子どもたちと(表現は悪いですが)隔離されたのと同意ではないでしょうか。

 

特別支援学校と普通学校の交流はあるにはあるのですが、その圧倒的な数の差を考えれば交流できる地区は限られますし、そもそも頻度も年1、2回のレベルです。

 

では普通学校の中にある特別支援級はどうでしょうか。

 

我が市の特別支援学級は障害種別に通うとことが分けられ、それぞれ「知的障害(15か所)」「自閉症、情緒障害(17か所)」「言語障害(8か所)」「弱視(1か所)」「難聴(1か所)」「病弱(1か所)」、計43か所と、ほぼ全ての学校に特別支援学級が併設されている印象を持ちます。

 

しかし、同じ学校内にある別施設というのが実情のようです。

つまり、全学年で共通の特別支援級が1クラスあるだけ、そこに在籍する生徒も10名に満たない、カリキュラムもクラス個別で進んでいく、などです。同じ学年でもクラスが違えば(同じクラスになったことがないと)どんな人か分からないというのは皆さん経験があると思いますが、そう言った学校生活を振り返れば、このシステムの中で障害者の実態を肌で感じるというレベルにまでもっていくのははっきりいって難しいでしょう。

 

更に、特別支援学校高等部の卒業後の進路をみてみます。

 

H24年度特別支援学校高等部卒業者の状況
社会福祉施設入所、通所者 11,801 66.65%
②就職者 4,420 24.96%
③教育訓練機関等入学者 445 2.51%
④進学者 471 2.66%
⑤その他 570 3.22%
合計 17,707 100.00%

 出典:文部科学省 特別支援学校 卒業者の進路 より

 

下記に各項目を解説します。

 

①は障害者総合支援法に基づくサービスを提供する事業所、世間一般がイメージするいわゆる作業所です。

②そのほとんどが障害枠での就職と考えられます。

職業能力開発校、障害者職業能力開発校であり、卒後は障害枠での就職が考えられます。

④一般の専門学校や短大、大学

⑤家事手伝いなど

 

上記でわかるように、その約7割(①+⑤)が障害福祉の枠で生きることになり、一般社会に出て行くのは毎年全国で5000人弱(②+③+④)しかいない計算です。これはどの位のレベル感かというと、「芥川」という苗字を持つ方とほぼ同じです。皆さん芥川さんという方の知り合いはいますか?僕はいません。それくらい少数なのです。

 

ちなみに平成27年において民間企業にて障害枠で就労している方は全国で約45.3万人いるそうですが、これは「池田」という苗字とほぼ同数です。ここまでくるとあまり珍しい苗字ではないので皆さんの知り合いに一人二人はいるかと思います。しかし不思議なことに、同数いるであろう働いている障害者の知り合いはいますか?と問われれば、おそらくほとんどの方の答えはノーではないでしょうか。なんとも不思議な現象です。

 

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日本国民の約6%に当たる740万人になんらかの障害があると言われています。

これは相当な数です。

(ちなみに苗字ランキング1〜5位である佐藤、鈴木、高橋、田中、伊藤の総数とほぼ同じ)

 

しかし上に検討してきたように、日本の社会システムの中で健常者と障害者の接点は非常に限られており、それ故に冒頭で述べたようなサイクルに陥り差別が解消されない、という構図になっていると僕は思うのです。

 

皆さんどう思いますか。

ご意見いただければ幸いです。

 

 

 

 

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プロフィール

kikuo_tamura

社会福祉士 / ソーシャルワーカー

社会福祉法人 松の実会 評議員 / NPO法人 こども子育て・発達支援研究会 監事

H28年6月、重症新生児仮死にて長男が生まれたことから、医療的ケア児関連に特に興味があります。

趣味は登山、トレイルラン、子どもを追い回すこと。1985年千葉県生まれ。
ご意見、ご連絡はお気軽に下さい。とても励みになります。
【m.jiggler@gmail.com】