気配を消して病室に潜む生き物
鼻腔から十二指腸まで入れている栄養摂取用チューブ交換のため、本日から1泊2日の入院である。子どもの入院は基本的に、保護者同伴になるため、kikuoが付き添うことになる。
どのご家庭も保護者同伴は基本的に母親が行っている。カーテンで仕切られているとはいえ、密閉された室内に見ず知らずの男がいるのだから、同室となった方はさぞ気持ち悪かろう。kikuoのせいで母親の精神的なストレスが溜まり、その捌け口が入院している子どもへ向かってしまったらと思うとゾッとする。間接的児童虐待の疑いで児童相談所へ通報されるかもしれない。院内での行為であるため、病院経営者の管理責任も問われかねない案件である。
病院へ出発する前に、朝シャンした。爪を切って眉毛も整え、無香料の整髪剤で髪を撫でつける。古今東西老若男女問わず、どんな人が見ても不快感を覚えないような、ダサくはないがお洒落でもない洗濯したての衣類を身に纏った。もちろんちょっとソフランも効かせてある。見てくれには細心の注意を払った。
病棟では置物の体で、生物感を出さずに過ごそう。
案内された病室へ入った瞬間から息を殺し、物音を立てないよう備え付けてある椅子へと浅く腰をかけた。右足を左の太腿に載せ足を組む。ベットにねかされたシュウを伏し目がちに見つめ、右手の中指と薬指を弱々しく親指にくっつける。いわゆる、キツネさんのポーズ。左手は組んだ右足くるぶし辺りに添えるだけ。つまり弥勒菩薩半跏思惟像になりきって気配を消した。形だけでも無我の境地をトレースする。
看護師が処置を施しながら、シュウに話しかけていた。
「シュウちゃん、今日はひとりだからパパと広々使ってね〜」
合掌。
kikuoの気苦労は秋空へ儚く消えた。
『ハァ…‥オヤジ気にしすぎやろ』
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早く帰りたいアピールしていたら、日帰り退院の許可が出た。日帰りになったが、すげー疲れた。
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○今日の一枚
東京湾の荒波と
筑波おろしが子守唄
月も朧に生まれし命
この人生(みち)運命(さだめ)と心に刻む
知らざぁ言って聞かせてやりやしょう
房総が産んだ暴れ馬
弁天小僧shujiたァ俺のことだァァァ!!
というわけでシュウがインスタグラム始めました。
アカウント名はshuji0610です。
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