A4一枚でメディアを動かす法
先日紹介したイベントが2/27付けの千葉日報朝刊で報道された。
本イベントについて、kikuoはメディア担当として関わっており、色々とメディアに働きかけた結果、今回の記事化につながった。主催団体の方の想い、開催の経緯、医療的ケア児というパイの少ない領域についての現状など、しっかり盛り込まれており、大変価値のある記事だと感じている。記事にしてくださった記者様に、改めてお礼を言いたい。
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さて、今回の仕事で思うのは、メディアへの働きかけというのは、非営利組織ならばどの団体でも抱えているであろう課題を、解決する方法になりうるということである。
その課題とは、ヒト、モノ、カネの、不足である。
これら3つの資源を潤沢に抱えている非営利組織は存在しないのではないだろうか。多くの団体は、仕事内容は兼務、自宅から持ち合わせたもので業務を遂行する、慢性的な資金不足、あるのはやる気と熱意だけ、というのが実情だろう。応援者を増やしたくても、広告にかけるお金もないため、地道に、徐々に、広めていくのが基本戦略となっている。もちろんその努力は非常に大切で、その草の根的な活動があるからこそ、花ひらく時がくることもある。
しかし、である。
事業の継続性を真剣に考えた時、スタッフのモチベーションだけに頼るのは非常に危険。モチベーションだけに支えられた組織で、継続的に発展していった団体は見たことがない。
人間は基本的に怠け者の生き物なので、自身の持つ欲求を満たすことができなければ、活動を続けていくことはない。ポルシェ乗りテーゼ、ロレックスはめテーゼ、可愛いネェちゃんはべらせテーゼ、という3大テーゼを解決するために、仕事に励むビジネスパーソンが少なくないのもそのため。辛い仕事を頑張れるのは、報酬を得て、自身の欲求を満たすことができるからだ。活動の継続には「欲求の充足」というガソリンを注ぎ続けなければならないのである。
非営利組織は営利企業のように、活動のガソリンとしてお金は使えない、とても厄介な仕事である。金銭を行動のモチベーションとしないという意味で、この仕事に就いているのはとても徳の高い方々だと推察しているが、地域には熱意のある方々が本当にたくさんおり、社会的に意義のある素晴らしい活動を行っている。しかし、ヒト、モノ、カネ、3つの資源をどれも十分に持ち合わせていないが故に、目の前の雑務に終われ、金銭も充足されないためやる気も削がれ、活動が先細りしていく団体も多い。この現実をどうにか解決したい、とkikuoは常々考えていた。
お金には頼れない。
でも満たすことができる欲求は何かあるはずだ。
ポクポクポク…‥チーンと行き着いた1つの答えが【社会的評価を得たい】という欲求を満たすことであった。そしてその方法が、メディアへ働きかけ取材してもらう、である。
マスメディアに取り上げられるということは、社会的に評価されたいという欲求を満たす最もたる例だ。マズローの五段階欲求でいうところの承認欲求がこれに当たる。
誰もが発信できる時代だから、一見、情報は同列に並んでいるように見える。しかし情報には『社会的な信用』という評価軸が存在する。だからこそ有名人を使った広告が成り立つのだし、弁護士や医者の発言には耳を貸したくなるのだし、フォロワーの多いSNSに群がるのだ。そして当然、メディアにも『社会的な信用』が存在する。
新聞、雑誌の売り上げ部数が年々、右肩下がりであるため、それら情報に価値が無くなってきているように思われがちだが、それは誤解である。もちろん誰もが発信できるからこそ相対的に情報に対する価値が下がっている面もあるだろうが、その本質はライフスタイルの変化、つまり、情報はデジタルで取得しスマホへ収納・閲覧するという変化、に追いついていないだけではないかと思う。丁寧に取材された記事の価値(質)は未だに高い。実際に多くのニュースアプリは、既存メディアの記事を集めて配信している点から見てもそれは明らかだし(既存メディアに信用があるから配信する)、スマホアプリのUIに力を入れて、オリジナル記事の配信にも力を入れているNews Picksが業績を伸ばしているのも頷ける。
社会的に信用のある第三者から取り上げられると何が起こるか。
外的なものから言えば、その団体の信用が上がる。注目度も上がる。そうすると、利用者もサポーターも、より多くの人が集まってくる。人材採用時にも有利に働くに違いない。給与体系も福利厚生も活動内容も同じようなA法人とB法人があった場合、メディア露出の多い法人に人が集まるのは目に見えている。
このように多くの人が集まると、また信用も、注目度も上がり、、、と正の循環が生まれる。この循環が生まれると、モノもカネも集まる可能性が高い。
内的なことで言えば、働いている人のモチベーションが上がる。やりがいが生まれる。すると、仕事の質も上がる。そうすると、サービス満足度も上がるから、上記した正の循環が加速されるだろう。
取り組んでいる仕事は同じなのに、社会的に信用のある第三者からの取り上げの有無でこれだけの違いが生まれる可能性があるのだ。
私の団体が新聞に乗るなんてムリー、ホワイトキックーと感じる必要ない。その道筋は思った以上に平坦である。
メディアへの働きかけとは、「プレスリリースを送り、取材してもらう」という単純なもの。プレスリリースの書き方、切り口、見てもらうコツ、メディアの探し方など、色々とルールはあるのだが、そのルールさえ知れば多くの非営利組織がメディアに取り上げられる可能性が高いと感じている。なぜなら非営利組織の活動は、①公共性があり(社会問題の解決に取り組む)、②先見性があり(法や制度の整備すらまだ整っていない領域を事業領域とすることも多い)、③金銭的な利益を第一義としていない(社会問題の解決が第一義)という点で、メディアが扱いやすい話題であるからだ。また、kikuoが過去にお会いした記者さんはみな、社会からみたらマイノリティだけど社会へ広げていかなければならないものを伝える、という使命を背負い、情熱を持って記事を執筆していた。そうでなければ医療的ケア関連の記事なんて書かれるはずがない。事実を捻じ曲げバズワードに便乗した俗物記事を書く人なんていなかった。
良質のリリース(上記①〜③に当てはまるもの)を出せばきっと記者のみなさまはあなたの応援者になってくれるだろう。そうなるとまたメディアへの露出も多くなることも考えられる。
プレスリリースを送るためにかかるお金といえば、切手代くらいなものである。120円の切手代とA4の紙ペラ1枚で、メディアを動かすチャンスが得られるのだからやらない手はないでしょう。やり方わからなければ教えるので、失敗したっていい!という思いでぜひ、チャレンジして欲しい。多くの非営利組織がメディアと良好な関係を築き、それを活動のエンジンとして活用して欲しいなーと、今回の仕事で強く感じた次第である。
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イベントについて、お姉ちゃんの下校時間と被っていたためシュウは参加できず、kikuoのみ顔を出してきた。掲載の許可をいただくのを忘れ、写真をお見せ出来なのが残念だが、親として、とても心温まるイベントであった。重い障害のある子どもたちをサポートしようとする人たちがこんなにたくさんいるなんて(実際、当事者家族より行政の視察の方やボランティアスタッフの方が多かった)、、、心強い限りである。
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今日の一枚
日常生活用具の給付を使い、カーシートを購入した。
ハッピーセットのおもちゃ、おさるのジョージって言ったじゃん…‥!!